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先月号で、時間の流れを1年、3ヵ月、1ヵ月と見てきました。今月は、さらに細かく見ていきます。
図１を見てください。ニコラ・シカは、基本的に木曜と日曜が休みの週休2日です。朝8時５０分出勤、途中拘束なし・電話番なしの９０分の昼休みをはさんで、夕方6時２０分退社の8時間労働です。土曜日も、丸1日勤務です。開業して数年経つうちに、お陰さまで、義歯の患者さんが増えてきました。
もともと、義歯の治療は好きでしたし、院長としてどっちみち1日中拘束されるし、しかもその頃は診療所の周りはみんな田んぼで、昼休みを利用しての外出もありません。そこで、苦肉の策として考えたのが「義歯タイム」です。チェアが3台ありますので、1時間半の昼休みを使っての、1人３０分、3人の義歯の患者さんの治療を始めました。スタッフは、3台のチェアにそれぞれ1人分ずつの準備をしてから、昼休みに入ります。
この「義歯タイム」始めてみると、いろいろな効果がありました。まず、患者さんが「先生は、お昼まだなんでしょう」と深謝してくださいます。そのせいか、スタッフがいなくても、義歯の治療がスムーズに流れます。「義歯タイム」には、BGMをクラシックにして、時の流れをゆったりとしました。そうするうちに、スタッフの私を見る目も変わってきました「院長はよく働いている！」。そこで、すかさず週休2・5。月火水金の義歯タイムは、1・5×4回＝6時間労働に相当しますので、土曜日は私だけお昼で上がることにしました。限りある時間とお金、パズルと思えば、まだまだ融通できますよ。 |
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これは、１０年以上も前に話題になった本のタイトルです。
「私たちは、ふつう、時計を使って時間を計る。あの、歯車と振子の組み合わさった機械が、コチコチと時を刻み出し、時は万物を平等に、非情に駆り立てていくと、私たちは考えている。ところがそうでもないらしい。ゾウにはゾウの時間、イヌにはイヌの時間、ネコにはネコの時間、そして、ネズミにはネズミの時間と、それぞれ体のサイズに応じて、違う時間の単位があることを、生物学は教えてくれる。生物におけるこのような時間を、物理的な時間と区別して、生理的時間と呼ぶ」。
（5ページより）
もちろん、患者さんは皆さんヒトですけど、年齢層ごとに、この生理的時間がヒトにもあるように思えます。乳幼児、学童、学生、若者、社会人…と、それぞれの時間の進む速さは違うような気がします。同じく、年齢層のみならず、治療によっても、それぞれに適したテンポがあるのではないでしょうか。義歯治療のテンポは、高齢者でゆっくりクラシック。充填やシーラントは、子供たちでリズムのあるポップス等々。話がちょっと、横道にそれたので戻しましょう。 |
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さて、先にお話しした、義歯タイムやいろいろなテンポをふまえて思いついたのが、このシステムです。図2を見てください。ニコラシカの予約は、午前9時から午後5時で、基本的に３０分ひと枠の１７枠です。
この枠の予約のことをワンポイント予約と呼んでいます。さらに9時から１１時と2時半から4時半を、受付可能時間として、日にちは決めるけど、時間指定をしない予約を時間帯予約と呼んでいます。抜歯後の洗浄や補綴物の装着、綿栓交換、予約外の人の受付もこの時間帯に入ります。
もうひとつ、完全フリーと呼んでいる予約（実際は予約とは呼べないが）があります。幼児向けに、ご機嫌の良い時にどうぞ、という予約です。
では、なぜ、これが「待ち人おこらずシステム」なのか？みなさん、考えてみてください。行列のできるラーメン屋に並ぶ人は、なぜ黙って待つのでしょうか？それは、はじめから待つことがわかっているからです。そんなこと、当たり前だと思われるかもしれませんが、これは裏を返せば「待たなくてよいはずなのに、なぜ待たせるのか！」ということになります。
その昔、ニコラ・シカでも患者さんが予約を守ってくれないということに、悩みました。その時の解決法は、ずばり「まずは歯医者が予約を守る！」ということです。驚きました。こちらが予約を遵守しはじめたとたんに、患者さんも予約を守ってくれるようになりました。
もちろん、たまにドタキャンや電話でのキャンセルはあります。突然、ワンポイント予約にキャンセルがでて、空いたとしても、ご心配なく。時間帯予約や完全フリーの人が、待っていらっしゃいますから。最後に朝礼で覚えた諺を添えておきます。
「You should keep your promise,otherwise no one will trust you」 |
参考文献／『ゾウの時間ネズミの時間』 本川達雄著／中公新書
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