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 暑い夏です。夏バテ防止のヒントとなるお話です。ラジオ英会話のテキストに「An apple a day keeps the doctor away」という諺をみつけました。「リンゴ一日一個で医者いらず」という意味です。転ばぬ先のサプリメント、言い換えれば「Supplements a day keeps the doctor away」となるのでしょうか。

三角食べ−三大栄養素

 小学校の給食を思い出してください。三角食べという食べ方を教わった経験がおありではないでしょうか。パンとおかずと牛乳を三角形に見立て、交互にバランスよく順序よく食べなさいというものでした(図1)。へそ曲がりの筆者は勝手に直線食べと称して、ひとつずつ食べていたのを覚えています。今になって思えば、この三角食べは三大栄養素のバランスを意味していたのかもしれません。三大栄養素といえば、ご存じのとおり「タンパク質・脂肪・炭水化物」です。栄養素には、他にミネラルやビタミンが入ります。

バランスをとる

 三大栄養素のバランスについて、興味深いことを知り合いの薬剤師の方から聞きました。三大栄養素をバランスよく食べている人は、少々たくさん食べてもさほど太らないそうです。さて、ひと口にバランスのよい食事といいますが、ちょっとビックリする文章を『若々しい人 老ける人』という本にみつけました。

 『栄養について語られる時、一般的にその基準として使われているのは、「栄養所要量」です。じつは、この栄養所要量は、まだ人々が食べるのに精一杯だった頃に、「これだけとれば欠乏症にならないですむ」という観点で定められたものです。

 しかし、時代は変わり、日本は飽食の時代を迎えました。科学もはるかに発達して、さまざまな新事実が明らかになっています。結論をいってしまうと、ほんとうにからだを若く保ちたいなら、栄養学をベースにした「バランスのよい食事」をとっているだけでは十分条件を満たしているとは言えません。最先端の情報を取り入れ、サプリメントなども利用して、からだによい栄養成分を積極的にとって、老化や病気を防いでいく必要があるのです』(29頁から)

 この文章を読むと、バランスのよい食事と言っていた頃と今では、そのバランスや栄養の必要量の意味が異なってきているということがわかります。また、目的も「病気にならない」から「若々しくありたい」へと大きく変化しています。ひと昔前のバランスのよい食事だけでは、現代においては不十分ということで、現代人はカロリーオーバーの栄養素不足とも、この本に書いてありました。

見せかけの野菜

 先ほどの本の中にも「栄養素が失われた現代の野菜、米、麦」というタイトルで述べてあります。事実、今日の野菜には昔ほどのビタミンが含まれてないそうです。たしかに、昔のキャベツのほうが今より苦く、キャベツのニオイがしていましたし、昔の酸っぱいトマトのほうが、今のトマトよりもカラダに良さそうです。すなわち、ほうれん草○○グラム、ニンジン△△グラムなど、目安になる必要量は、正確には含まれるビタミン類などの量からの換算された目安だと思うのですが、今日ではその含まれるビタミンが減っていますから、当てにならないということです。

 本『不老革命』のなかにも「野菜の栄養分が激減している」という見出しで『同じ土地に作物を植え続ける輪作や化学肥料などによって、土地がやせて、野菜自体がもつ栄養分が低下していることも、サプリメントの摂取が必要な理由にあげられます。さらにハウス栽培によっても、野菜や果物の栄養分が低下しているのです。たとえば、ほうれん草やキャベツなどの「葉物」の野菜に含まれているビタミンCは、のきなみ40年前の約半分に減っているといわれています。ほうれん草にいたっては、約10分の1に減少しているとの北海道中央農業試験場からの報告もあるほどです』(125頁から)。ですから見かけ上、十分な量の野菜を摂ったとしても、栄養素に換算してみると不足していることになります。

転ばぬ先のサプリメント

 では本題サプリメントについて。サプリメントとはSupplementのことで、正しくはDietary Supplementで、食事(dietary)の補助(supplement)という意味です。サプリメント先進国アメリカで1994年に制定された法律「栄養補助食品健康教育法」(DSHEA法)では、サプリメントを「からだに役立ち、病気の予防やからだの機能の積極的な改善ができるもので、すでに効果が実証されているもの」と定義されています。日本では2001年に厚生労働省が「保健機能食品制度」を制定しました。それまで健康食品・健康栄養補助食品などとしてひとくくりにされていたものの中から、含まれる成分など一定の要件を満たすものを「保健機能食品」と位置づけています。この保健機能食品は、さらに「特定保健用食品」と「栄養機能食品」に分けられます。

 具体的に見ていきましょう。大まかに分けると次のようになります。
●ビタミン・ミネラル 微量栄養素と呼ばれ、エネルギーやからだの構成要素にはならず、主に体内で起こる化学反応に携わる酵素とともに働く。
●ファイトケミカル 植物性化学物質、植物性栄養素とも呼ばれ、ビタミンやミネラルに近い働きをする。ビタミンやミネラルの働きを助けるものもある。ポリフェノール、イソフラボン、カプサイシンなどがこれに入る。
●食物繊維 消化されない食物成分のことで、水に溶ける水溶性食物繊維と溶けにくい難溶性食物繊維がある。
●アミノ酸 タンパク質を構成するもの。
●脂肪 EPAやDHAなど魚由来のサプリメントや植物由来のオイルがある。
●乳酸菌 腸内善玉菌
●ハーブ 薬草を煎じたりアルコールで成分を抽出したもの

どんなサプリメントを飲めばいいのか?

 さらに、何を飲めばいいのかについて話をすすめます。大きな書店に行けば、サプリメントに関する本や雑誌でコーナーが作ってあるほど、サプリメント関係の書籍は出ていますが、それらの本の見出しによく見られ、最近、よく耳にする言葉に「アンチエイジング」「オプティマル・ヘルス」「抗酸化」などがあります。これらの言葉が意味することは「老けない」「若々しくありたい」ということであり、ひとつの健康観の変化(もしくは進化)と言えるでしょう。「病気にならないから、さらに若々しくありたい」へとなれば、昔ながらの食生活では補給できないものもあるということです。

 「病気にならない」ためのベーシックなサプリメントといえば、マルチビタミンでしょう。ビタミンA・B・C・D・E・K・葉酸などがバランスよく配合されています。このマルチビタミンをベースに、目的別(臓器別)にあわせ飲むサプリメントを選べばよいでしょう。

 「若々しくありたい」ためには、抗酸化作用がポイントです。話題になっているコエンザイムQ10をはじめ、αリポ酸、イチョウ葉などがあります。また、天然の色素成分である「カルテノイド」(βカロテン・リコピン・ルテイン・アスタキサンチン・βクリプトキサンチン)も注目株だそうです。

薬との違い

 サプリメントと薬の違いは何でしょうか。一番の違いは、サプリメントは保健機能食品であるということです。食品、食べ物ですから、自然に存在するものから作られています。一方、薬は合成されたものです。またサプリメントは栄養素ですから、もともと体内に存在するものです。これに対して、薬は体内には存在しないものです。また薬はある特定の効き目、熱を下げるとか、痛みをとるなどの薬効を発揮します。サプリメントの場合はある特定の効き目というよりは、幅広い効果が期待されますが、その分切れ味は鈍いものとなります。薬は分析の西洋医学をベースに特定のシャープな切れ味を持ちますが、副作用もある。サプリメントは、どちらかというと融合・融和の東洋医学的で切れ味は鈍いけど、幅広くマイルドな効き目を発揮する。どちらかというと、漢方に近いものかもしれません。

 あえて言い添えますが、あくまでも基本は普通の食事です。日頃の食事で補えないものを補足するのがサプリメントです。サプリメントは薬とも違いますが、食事とも分けて考えるほうが良いと思います。

アンチエイジング

 今年(2005年)4月に日本歯科漂白研究会は「日本アンチエイジング歯科学会」に発展的な組織変更を行いました。目標として「容姿管理・体調管理・寿命管理」を掲げています。アンチエイジングは「抗加齢医学」とも訳されますが、本『アンチエイジングのすすめ』には次のように定義されています。『年齢を重ねても質の高いライフスタイルを送りたいと願う患者さんに対し、気力も体力も充実した「30歳の心とカラダ」をキープしていくためには今から何をすればいいのか、適切な食事・運動・精神療法を指導し、場合によってはビタミンやホルモンを処方するというものなのです』(19頁から)。また「オプティマル・ヘルス」とは「その時における、最適で最高の健康状態や美しさを実現すること―年齢相応の健康と美しさ」と前出の本にあります。

ライフスタイル

 アンチエイジング関連の本を開くと必ず出てくるのが「生活習慣」です。ちなみに生活習慣病は文字通りlifestyle-related diseasesといいます。さて、この生活習慣いわばライフスタイルは、サプリメント摂取とともにアンチエイジングには欠かせない要素のようです。ここでは、ライフスタイルを人生そのものの大きなとらえ方ではなくて、生活のリズム・習慣としましょう。またサプリメントは、サプリメントそのものと合わせて健康や若さに対する気持ちと考えましょう。

 図2を見てください。三角食べは、食べ方ですが、このイケメン三角は方法ではなく、生き方そのもの、人生に対する考え方・哲学といえるでしょう。やはり何事においてもバランスが必要なようですね。


参考文献/
『不老革命』 吉川敏一 朝日新聞社 1300円+税
『アンチエイジングのすすめ』 米井嘉一 新潮社 1200円+税
『サプリメント健康バイブル』 日本サプリメント協会 小学館1238円+税
『若々しい人 老ける人』 佐藤富雄 かんき出版 1400円+税












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