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 今月号のタイトルを見て、今までと違うなあと思われた方もいらっしゃるでしょう。暑い夏に向かっての準備と思って読んでください。女性読者の方には、ちょっとピントはずれの内容かもしれませんが…。

髪型と香水

 かなり勝手な持論ですが、白衣とマスクを着用する歯科医にとって、仕事中に可能なオシャレは「髪型と香り」だけだと思います。オシャレな白衣、デザイナーものの白衣もいろいろありますが、おおかた機能とデザインはあまり両立しないような気がします。

ヘアースタイル

 まずは髪型。図1を見てください。このイラストは現役の美容師さんに「デンティスト・カット」と称して実際にデザインしてもらったものです。清潔感・信頼感・上品さをコンセプトにおいて、それぞれデザインしてもらいました。 みなさんは、イラストを見てどう思われますか? 今度髪を切る時に、参考にしていただけると幸いです。ここで『成功する男の服装戦略』という本を開いてみましょう。『リラックスした笑顔の写真(エグゼクティブ・ポートレート)は「あなたのビジネスパートナーとしてふさわしい人物です」というアピールであり、笑顔からもれる美しい歯並びは、育ちのよさの証明であるといいます。また、彼らは、服装や小物づかい、そして仕草の一つひとつが、メッセージや感情を伝えていることを知っています。だから成功したい人は、歯列矯正を行い、コミュニケーションスクールに通って外見にも自己投資をするのだそうです。』(はじめにから)

 本のタイトルを見ておわかりのように、この本は歯科矯正の本ではありません。もう一度タイトルを見てください。「服装術」とか「オシャレ読本」ではなく「服装戦略」となっていることにも、ご注目ください。この本はアメリカ人のイメージコンサルタントが書いた本の翻訳版です。『日本ではいまだに「男は見かけでなく、中身で勝負だ」と言う人もいますが、「中身のある男は、外見にも気を遣っている」というのが真実だと思いませんか?いつの時代でも、成功する人は成功のための装いをしています』(はじめにから)

 イメージコンサルタントとは、服装や話し方、動作など、相手に与える印象をアップさせることをサポートする職業で、欧米、特にアメリカでは政治家や企業のトップはもちろんのこと、ビジネスマン・主婦に至るまで昇進や転職、復職などさまざまな場面で気軽にアドバイスを受けているそうです。しかも、このイメージを向上させることは、ただ単に外見的なことのみならず、セルフ・デベロップメント(自己啓発)のひとつとして確立されつつあるということです。

 女性誌『グラツィア』の4月号にも、髪型について次のような文が載っていました。『”上質な女“の外見的な目印を、ひとつだけあげよと言うなら、たぶん”髪型がステキ“なこと。まず女の第一印象の70%は髪型で決まる。そして女のタイプを一瞬で分けるのも髪型。知的であるのか、エレガントであるのか、そして色気はあるのか、また女としてヤル気はあるのか、愛されようとしているのかまで。ましてや、歳を重ねるほど髪型の重要度が増してくる』(187頁から)

フレグランス

 もうひとつのオシャレ、香水について。前出の本に、やはり香水についても書いてありました。『日本人男性の苦手な分野に、フレグランス(香り)があります』(158頁から)そこで、香水について化粧品関係の方に男性用フレグランスについて聞いてみました。

 『大別してフゼア系とオリエンタル系の2種類のタイプがある。
●フゼア系・・・ラベンダーや紅茶等を ベースに清潔感、爽やかなイメージを有し、カジュアルからフォーマル まで何にでも合わせやすい。
●オリエンタル系・・・甘さやスパイス を醸し出し、刺激的、挑発的な男性のセクシーさをイメージしたもの。

 最近の傾向としては、爽やかな香りが好まれ、紅茶やせっけんをイメージしたものなど、女性にも共用できる香りが増えている。また、季節によってもその傾向は変わり、大きく分けて春夏と秋冬に分けられる。春夏は爽やかをイメージしたフゼア系が合い、秋冬には甘いタイプのオリエンタル系が合う。また同じ香水をつけているのに、人によっても香りが変わることがある。理由としては、体温の高い人やオイリー肌の人は香りが拡散しやすく、香りが持続する傾向にあり、甘く感じやすい。一方、体温の低い人や乾燥肌の人は、香りが控えめになり、爽やかな香りになりやすいという特徴がある。

 以上の点を考慮して選んでほしいが、簡単な方法としては、女性と一緒に行って決めるのがベターな選び方といえる。ずばり、女性に好かれる香りが一番合うからである』

 なるほどと、納得です。フゼア系とはライムやレモンのシトラス系で、オリエンタル系とは甘い香りと理解しました。前出の本の「日本で好まれる身だしなみ」のコラムに次のようにあります。『「何かつけている」とさとられないように、ほんのり匂うか、匂わないくらいがベストです。香りのおしゃれがさりげなくできる人は、本当に「できる!」人です。ただし、飽くまでも「さりげない」香りがポイントです。しつこいようですが、くれぐれもつけすぎないように。』(158頁から)

身だしなみ

 見える身だしなみが「髪型」、見えない身だしなみが「香り」と言えるのかもしれません。人は出会った時に、たった30秒で相手を判断してしまうそうです。
 『さて、30秒という時間では、大学の成績証明書を取り出すことも、履歴書を見せることも、性格診断テストの結果を提示することもできません。まして、自分に才能やスキルがあること、訓練を積んだこと、それから実際自分に満足してくれている雇い主や顧客が大勢いることも、説明することはできません。人は30秒で、相手の服装、ヘアスタイル、物腰、微笑み、その他の言語によらないコミュニケーションで――つまり、見た目で相手を判断します。外見は大切なのです。このような瞬間的につくられる印象は、その後にも残りうるものです。』(6頁から)
 仕事中のオシャレと聞くと、少し違和感を持たれるかもしれませんが、言葉によらないコミュニケーションととらえるならば、自然ではないでしょうか。ムシ歯予防にしてもPMTCなどのメンテナンスにしても、身だしなみのひとつでしょう。そうであれば、それらに従事する歯科医師自身もオシャレをコミュニケーションのひとつと考えるほうが、まさしく「オシャレ」な気がします。


参考文献/ 『成功する男の服装戦略』 スーザン・ビクスラー著
朝日新聞社 1200円+税
『Grazia(グラツィア)』 No.109 2005/04号
講談社 780円(税込)

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