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ブランド・マネージャー

 皆さんは、この言葉をお聞きになったことがありますか?本『ブランド・マネージャー』によると「ブランド・マネージャーとは、「一つのブランドに関するすべての政策を決定する責任者」です。社長が会社のすべての経営に関する権限をもつのと同様、ブランド・マネージャーは、ある特定ブランドに関するすべての決定権をもつ人物なのです。つまり、「ミニ・社長」と言えるかもしれません。」(14ページより)と、あります。もうお気づきになったでしょう。そうです、院長はまさしくブランド・マネージャーなのです。院長は、社長であり同時にブランド・マネージャーでもなければならないのです。

有能なブランド・マネージャーとは?

 さて、この本では「ブランドとブランド・マネージャー」は「競走馬と騎手」の関係であると、話が続きます。続く文章を、ブランドを診療所、ブランド・マネージャーを院長として書き直してみました。「今の時代は個人の能力が大きく企業の業績に貢献する時代なので、当然、院長の個人的な能力が診療所の業績に大きく影響します。診療所と院長の関係は競走馬と騎手の関係に似ています。あなたの馬がどれほど血統が良く、足が速くても、その馬に乗る騎手が素人だったら、その馬はレースに勝つことが出来ません。その血統の良い馬は、所詮、「単なる動物」です。しかし一方で、それほど血統は良くない、「単なる動物」に近い競走馬も、さしずめ武豊のような有能な騎手が乗ると、能力以上に速く走ることができます。この場合、その馬は「単なる動物」というよりも「騎手の思い通りに走る最速マシーン」なのです。診療所も同じことです」(15ページより)「「いい診療所なのに何故売れないんだろう」という、その無能な院長は、原因が自分にあることすら気付きません」(16ページより)
 では、有能な院長とは? 

ブランドとブランド・マネージャーの関係

 この本では、有能なブランド・マネージャーに必要なこととして、次の四つをあげています。ここでも、ブランドを診療所、ブランド・マネージャーを院長として書き直してみました。

一、正しく優先順位をつけること
 「どの企業であれ、院長は毎日時間に追われて忙しく働いています。たぶん、社内で一番忙しい人間です。この忙しさをコントロールできない人は院長にはなれません」「有能な院長は何よりもまず、仕事の優先順位づけをするのが恐ろしく正確なうえに、凄まじく早いという特徴を持っています」「院長は会社のなかで、他の誰よりも、仕事を多く抱え込むポジションです。また、突然仕事が降ってくるのも毎日のことです。よって、優先順位をつけることが得意になります。そして成果を出すための限られた時間を、くだらないことで消費することはしません」
(26ページより)

二、自分で考え、答えをだし、マニュアルを当てにしないこと
 「あなたは、現状を直視しながら、自分なりのロジックを展開しなければなりません。院長という仕事はモノを考える人間にしかできないものなのです」(27ページより)

三、オーナーシップ・マインドがあること
 「オーナーシップ・マインド(当事者意識)があるかどうかです。「一体誰がこれをやるのか?」という質問に「私がやる」と答えられない院長は誰も説得できません。他人が決める、誰かがやるだろう、というマインドでは誰も説得することは出来なくて当然です。オーナーシップ・マインドのない院長の言うことなど、誰もやってみようとは思いません」(28ページより)

四、専門的なスキルを持っていること
 「専門的なスキルとは「診療所が健康でいられるようにその環境を整える」スキルです。診療所には以下の三つの状況が考えらます。一つ目は、新診療所を創るときです。二つ目の状況は、うまくいっている診療所を維持もしくは拡大させていくときです。三つ目は、「診療所をリポジショニング(建て直し)しなければならない」、という状況です」(30ページより)と話は続きます。ここまでお読みになって、おわかりになったと思いますが、ブランド・マネージャーの大きな仕事は「ブランディング」です。このブランディングのわかりやすい実例として名刺を取り上げてみました。

名刺

 1月号でお話した図「デンティストバージョンセミナー編」を思い出してください。新しい知識や情報を頭に入れたら、即実践。そこで、今回、島田先生(北九州市開業8年目)に、さっそくブランド・マネージャーの意識を持って、プラクティスしていただきました。なお、名刺作製にあたっての、株式会社フォリオの大田黒昭彦氏の多大なるご協力に深謝いたします。
 
 1月号で紹介した本『電通「鬼十則」』に、「サラリーマンは、給与を与えられ
る人」「ビジネスマンは、給与を自から獲得する人」とあります。もちろん、院長はビジネスマンです。名刺はbussiness cardとも、言います。名刺を題材に、ブランド(診療所)を、見直してみませんか?


参考文献/
『ブランド・マネージャー』 水野与志朗 リュウ・ブックスアステ新書





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