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「中」が消える

 さる2月、『文藝春秋』にちょっとショッキングな記事を見つけました。その記事は「2005年大予測 日本から『中』が消える」というタイトルで「経済社会においては、優れたものが際立ち、劣ったものが落ちる、いわゆる二極分化にとどまらず、中間的な存在が消えてなくなっていく年の始まりになるに違いない。中間が消えるという意味で、『消中現象』と呼ぼう。これこそ2005年を象徴するキーワードになるはずだ。『年収300万円時代を生き抜く経済学』の著者である森永卓郎氏(UFJ総研主席研究員)は次ように語っている。「小泉構造改革によって生じた現象というのは、
1.一握りの大金持ち(IT起業家、高級官僚、外資系金融機関のエリート)
2.年収500万円〜300万円の一般サラリーマン
3.年収100万円の非正社員、という「三極分化」でした。しかも2から3に滑り落ちる人がどんどん増えています。階層分化の行き着く先は日本のカリフォルニア化でしょう。一部の金持ちは私設ガードマンによって守られたゲートシティに住み、そのすぐそばにスラムがある。戦後の日本ではメイドを雇う家はほとんどありませんでした、これからは賃金格差がひらいてくることでそれが可能になってくる」(156頁より)

 年収500万円〜300万円の層が消えるということは、患者さんの多くの人々が消えるということになります。患者さんのみならず、歯科医師の我々も消えかねません。背筋に寒いものを感じながら、先を読みました。

携帯電話業界

 明るい材料が乏しい中で、唯一明るい話題としてあげられるのが携帯電話関連の業界のようです。「個別の産業分野について言うなら、今年、最もダイナミックな変化が予想されるのは携帯電話業界。『日経エレクトロニクス』編集長の浅見直樹氏は、携帯の新しい多機能化に着目する」(160頁より)
 中間層が消えゆくなか、携帯電話業界だけは伸びる。本当でしょうか?

おしゃべりは「本能」

 筆者は初任地の大学附属病院で、週に半日「病理診断」の部署に勉強に行っていました。そんな時、おぼろげに次のようなことを感じました。「ヒトのとる行為・行動は、体内で起きていること・体内に持つメカニズムと同じではないのか」ということです。例えば「隣近所の人と挨拶を交わす」これはまさしく「免疫」のメカニズムであるし、「2キロ太るのは簡単だけど、体重を2キロ戻すのは非常に困難」。これは「ホメオスターシス」が働くからだと思います。「1日5分の英会話が長続きしない」も同じ理由のような気がします。常在菌の顔ぶれがいったん決まってしまうと、新参者はなかなか仲間に入れてはもらえない、これも同じです。人は無意識のうちに、今の日常生活を維持しようとします。ですから、英会話やダイエットを新たに始めようとしても、頑強な抵抗にあうわけです。所詮、ヒトは孫悟空よろしく、お釈迦様の掌の上で、くるくる回っているだけなのです。

 ここで、先月号で紹介した、宇宙飛行士向井千秋さんのご主人の向井万起男さんの記事について再度取り上げてみます。人体の根本を研究する学問のひとつが病理学です。その病理学の中に身を置く向井さんが「携帯メールは必須」と言われたことは、非常に意味深いことに思えるのです。かなり大胆な意見かもしれませんが「楽しむこととコミニュケートすることは本能である」と考えます。

本能を刺激するもの

 身近なところで、本能を刺激するもの・本能に関するものをイメージしてください。食欲・性欲・睡眠欲などに関連するグッズ、お店、産業といろいろありますが、これら本能関連のものはヒトが存在するかぎり消えることはないでしょう。逆に考えるなら「本能を刺激すれば、すぐに人は行動を起こす」と言えるのではないでしょうか。しかもそれがコンビニエンスであれば、バッチリ!

 もうおわかりですね。便利な携帯電話を使って、コミニュケーションを深め楽しみを加味すれば、初診の方は常連さんに、常連さんは超常連さんとなることは、間違いなしと思います(図1参照)

遊び心を忘れずに

 図2を見てください。オープンカレンダーの基本画面です。上から2行目の「今月のひと言」に、ご注目を!実は、このひと言が小技を発揮します。ここの2行(10字×2行=20字)に、遊び心を盛り込むことができます。たとえば、中年の患者さんには「手紙の書出し文風時候の挨拶」。高齢者の方には「俳句」。中高生の学生さんには「歯に関するなぞなぞ」などを書き入れます。月別に「書き出し文」「俳句」「なぞなぞ」と織り交ぜてもいいでしょう。そうして、患者さんには「カレンダー見たら、名前を入れてご返事ください」「なぞなぞの答えをメールしてください」と、伝えておきます。その月の返信メールの中から抽選で3名様に歯ブラシ進呈とか、ムシ歯予防ガムプレゼントとか、使い方いろいろです。

安心感・便利さの携帯

 ひとたびメールを介しての、双方向性の会話手段ができると、非常に便利です。補綴物完成に伴う装着日の予約、院長の急な出張による予約の変更依頼、もちろん「花メール」でご紹介したバースデーメールやフォローメールなど、多種多様な用途が考えられます。音声電話のように相手が留守で、つながるまで何度も掛ける必要もありません。送信済みメールは手元のパソコンに残りますから、電話した・しないのトラブルも起こりません。「消中現象」が起ころうとする今、計り知れない可能性を秘めた携帯電話を、使わない手はないと思うのですが。


参考文献/文藝春秋2005年2月号 (株)文藝春秋 730円(税込)


















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