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7月号から歯科医院経営へのビタミンになるような、「楽しいホームページ=おうち」の作り方の連載が進行中です。家族会議、プランニング、土地さがし、建設とすすみ、いよいよ今月は待ちに待った完成・入居です。
 さあ、完成しました。入居です。勝手口からではなく、どうぞ表玄関から、はいってください。完成した我が家の、新しいにおいを充分に吸い込んでください。リビングから見える風景を、思う存分楽しんでください。

 さて、入居してからは「日常茶飯」です。朝起きて、夜になって眠り、また朝がきて…、とすべてが現実・日常のこととなります。土地探し、現場監督など、今までは非日常のことでしたが、これからの生活は日常茶飯です。電化製品でも、車でも、カタログや試乗車を前に、選んでいる時(非日常)が一番楽しく、購入して日々の生活の中に、そのものがあると、しだいにマイナス面が目に付くようになります。我が家とて同じこと、どんなに家族会議で話し合っても、どんなにプランニングで頭をひねっても、夢や希望が、いざ日常となると「ここをああすれば良かった」「あそこはこうが良かった」と、小さな後悔が生まれてきます。しかし、完成後はあとの祭り。どんなに、時間かけても完成までは非日常、完成したからには日常です。必ずギャップは付き物です。

 そのギャップを埋めるコツが「使い勝手」すなわちどう使うかです。言い換えれば、ハードは完成しましたから、これからはそれを使いこなすためのソフトの問題。家でも車でも、使い方や使い手によって、ユーザビリティ(有用性)も変われば、耐久性だって違ってきます。ポジショニングで自己分析し、チューニングでスタイルを選び、ブランディングでハードは完成しました。もちろんこれからの「使い勝手」も、今までのスタイルをしっかり踏襲して欲しいものです。

 ここで、今までの流れを見直してみましょう。まずは「八面六臂」のホームページの中で、ポジショニングを考えました。つまり自己分析、分析結果は「シンプルでオシャレな情報発信型のホームページでいこう」でした。次に、二回目「才色兼備」チューニングでは、スタイルを選びました。そのスタイルは「歯科医院のマイナスイメージを払拭するような、快適で娯楽性に富んだスタイル」となりました。そして三回目「着眼大局」でのスタイリング。「土地探しのみならず、方向性を持ってのニコラスパイラルの提案」すなわち、土地を選ぶということは後々の、人の流れや動きを踏まえる必要があるということ。第四回「徹頭徹尾」ではブランディング。つねに「シンプルでオシャレな情報発信型」を念頭に置いて、特色を明確にするために、とことんこだわるということでした。

 さて、今月、第五回目、入居です。ホームページの公開、オープンとなります。マイホームならば、どんな家具や照明器具、カーテンを付け、絵やポスターを飾り、それらの中でどのように生活するのか。ホームページ上では、それぞれのコーナーにどのようなコンテンツ(中身・内容)をいれ、それらを随時更新していく、ということでしょう。

 ここでちょっと一服。幼い頃の我が家は、茶の間がすべてでした。四畳半か六畳で、もちろん真ん中には卓袱台があり、壁際に水屋、テレビが並んでいました。冬には、卓袱台は炬燵に変わります。考えてみると、狭いがゆえ、今のようにものが豊かでないゆえの知恵なのでしょう。本当にこの茶の間と卓袱台の取り合わせは絶妙です。朝になり、布団を上げて卓袱台の足を出したら、朝餉の用意。昼過ぎに近所のおばさんが来られたら、そこはリビング。晩ご飯が終わったら、卓袱台の足を畳んで、水屋に立てかけ、布団を敷いて、寝室。これほど、使い勝手が良く、機能的なものはなかなかありません。小間、畳、卓袱台のコラボレーション、昔の日本人の知恵には脱帽です。お茶の間のもうひとつの特徴に、コミュニケーションの豊かさがあげられるでしょう。朝から晩まで、同じひとつの部屋に笑い声が絶えません、家族が集います。「シンプルでオシャレな情報発信型」のホームページとは、まさしくこの茶の間がお手本ではないでしょうか。

 では、茶の間の利便性とはホームページ上ではどんなことなのでしょう。役に立つことでは「診療科目」「診療時間」「地図」などの案内や、インターネット予約などがあります。「ムシ歯予防のコツ」「入れ歯の手入れ」「歯にやさしいお菓子」などの情報提供も役立ちます。そうして、それらコンテンツに、絵文字やイラスト、写真が適宜入り、色合いが考慮してあれば、見やすく理解しやすいものとなります。読みやすく理解しやすいほど、読んだ人にとって役に立つ、ということは言うまでもありませんね。単に、専門書からの引用ではなく、自分なりに診療所なりの、こなれた文章のほうがベターでしょう。読みやすく、読んで役に立てば、自然とアクセスも多くなります。

 近頃「エモーショナル=emotional」という言葉を、広告などでよく目にします。五感や感情に訴える、働きかけるというような意味合いを含んでいるようです。香水の広告であれば、それを見ただけで、香りまでも感じられるような宣伝広告など、エモーショナルブランディングの一例です。日産フェアレディZのホームページでは、EMOTIONAL DRIVINGというコーナーがあります。目で見て頭で感じるのではなく、体や心でも楽しめるドライビングであり、それはより一層感動深いということなのでしょう。身近な例では「デパ地下の試食」です。デパートの地下街の食品売り場での試食コーナー、もともと、そこに並んでいるお惣菜やお菓子に、まずいものはありません。それだけに、お客さんは決めかねています。最後の決断を促すのが、この試食という技です。頭だけでの理解よりも、身体での感動、言い換えれば五感を刺激される方が感動が深く、人は動きます。試食して、五感を刺激されると、さほど美味しくなくても「これ頂戴な」と言葉がでます。これがエモーショナルブランディングです。このエモーショナルブランディングに裏打ちされた商品やサービスを体験したお客さんはリピーター(常連さん)となり、しだいに超常連さんとなっていきます。

 エモーショナルブランディングにもとづいた、コンテンツとは?簡単に言うと「アクセスした人の背景(過去)を踏まえた中身」「読んだ人の次の行動(未来)を予見しての中身」と、言えるのではないでしょうか。挨拶でも使っているでしょう。単に「いらっしゃいませ」よりも「足場の悪い雨の中、よくおいで下さいました」であり、「さようなら」ではなく「暗いので気を付けてお帰りなさいね」のひとことです。またこの季節には、大好きな三代目三遊亭金馬の「居酒屋」をよく聞きます。ちょっと寒い日なんぞにこの噺を聞くと、居酒屋で一杯やりたくなって、居ても立っても居られません。これがエモーショナルです。読んだり、見たり、聞いただけなのに、実際に行動を起こしたくなる、もしくは起こしてしまう。これくらいの説明では、言葉が足りませんが、少しはおわかりいただけましたでしょうか。

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