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7月号から始まった「楽しいホームページ=おうち」の作り方の連載も、今月号で終わりです。いろいろな提案をしてきましたが、いかがでしたか?最終号では完成・入居後、早くも3年間経過した近未来のお話です。 |
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最終号のタイトル「年年歳歳」は、有名なフレーズですのでご存じの方も多いでしょう。オリジナルは「年年歳歳花相似、歳歳年年人不同」で、唐の時代、劉希夷の詩です。毎年、花の姿は同じなのに、見る人の姿は変わっていく、と言うような意味でしょうか。さて、マイホームが完成して、はや三年がたちました。タイトルのごとく、完成した家は、さほど変わりませんが、住む人は年々変わっていきます。小学生だった子どもさんが中学生に、そのお兄ちゃんは大学進学で家を出たり・・。お母さんが、仕事に行き始め車が一台増え、駐車スペースを広くしないと…。住む人の状況が変われば、当然、家や部屋の使い方も変わってきます。そこでリフォームが必要となるわけです。家族会議で、ある程度予想してプランに盛り込んではいても、なかなか予想どおりにはいかないものですよね。
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ここで、表を参考に流れを振り返ってみましょう。まずは「八面六臂」でポジショニングを考えました。二回目は「才色兼備」でチューニング。三回目「着眼大局」でのスタイリング。四回目「徹頭徹尾」でブランディング。五回目は「日常茶飯」でエモーショナルブランディングでした。最終回は「年年歳歳」です。よく耳にする言葉ですが、目に見える現実はどうでしょう。おそらく「年年歳歳」ではなく「日日月月」ではないでしょうか?
二〇〇六年十二月…
『今(二〇〇六年)では、高校生以上の国民のほぼ九割の人が、携帯電話を使っています。中学生でも七割に達すると、先日ニュースで言っていました。診療所と患者さん間においても携帯電話を使って、いろいろな情報が行き交います。予約はもちろんのこと、予約の変更も携帯メールです。ニコラシカからは、予約確認メールを出します。患者さんへのメールは、その日の治療内容から治療費の内訳、質問への答えなど、多岐にわたります。メンテナンスのご案内から、予防グッズの最新情報なども。窓口会計も今では、カードではなく携帯電話で即決済。部活や遊びで忙しい中学・高校生には、携帯メールを使ったムシ歯予防システムをちょっとしたゲームとして配信。ゲーム参加者は、ポイントためてマイレージプレゼントをゲットなどなど…。一方、インターネット普及率も国民の八割に届くとのこと。テレビやラジオよりも、インターネットからの情報が多くなりました。いくつかの診療所や病院では、インターネットを使っての患者さんご自身からのカルテ閲覧サービスも始まりましたとか…』
いやいや、三年後はまだまだと思われている方、仮に六年前を振り返ってみてください。六年前(一九九七年)には、あなたの周りのどれくらいの人が携帯電話を使い、インターネットに接続していましたか?今の世、IT化の加速度は予想をはるかに超えています。これからの三年は、今までの六年を越えるでしょう。そうなった時に、ホームページを使いこなしているか否かは、一つのふるいになるような気がするのです。
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さて、ポジショニング、チューニング、スタイリング、ブランディング、エモーショナルブランディングときて、最終回は「リポジショニング」です。ホームページをスタートして三年もたつと、社会環境もそうですが、インターネット環境も、かなり進化しています。流れる情報の量や速さ、動画の鮮明さや、質の高い音声、セキュリティに関すること…。そのようなネット環境に対応する手直し=リポジショニングが必要です。また加えて、歯科医師としてのリポジショニングにも目を向けて欲しいと思います。ひとつのホームページの許容量は、個人ユースでは必要なだけ可能と言っても過言ではないでしょう。
雑誌に発表した症例報告、投稿エッセイ、地元歯科医師会に寄せた文など、歯科医師としての業績はカルテだけではないと思います。それら歯科医師として、またはあなた個人として、書き記したもの、映像に採ったものなどが、すべて、きちんと残せるのもホームページの力です。
院長室の棚には、おそらく不要になった雑誌や書類が「年年歳歳」その高さを増しているのではないでしょうか?ホームページを持つことによって(公開する・しないは別として)本当に必要な情報だけを保存管理することが可能になります。歯科医師としての仕事、あなた個人としての「やったこと」が、きちんと整理され、保存可能です。そうして、縁起でもない話ですが、個人レベルのホームページはおそらく近未来の新しいスタイルの「お墓」になっていくのではないでしょうか。
ホームページを管理するプロバイダーとの契約いかんによっては、その人の死後五〇年間は、閲覧可能ということだってできるでしょう。自分のリポジショニング=見直しとして、またあなた自身の業績の保存管理として、はたまた新しいスタイルのお墓としてのホームページ開設をこの連載を機会に考えてみてください。あなたご自身を見直す良いチャンスになると信じて、ペンを置きます。 |
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