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クインテッセンス出版
「歯医者さんの待合室」
2004年5月号に掲載



 皆さんも、不思議と思いませんか?5月5日、こどもの日は端午の節句とも言いますね。これは、五節句というものの一つです。五節句とは、
正月7日―七草の節句(人日)
3月3日―雛祭り(桃の節句)
5月5日―こどもの日(端午の節句)
7月7日―七夕
9月9日―重陽の節句(菊の節句)
の、五つです。古来中国では、奇数を陽として、陽が重なる日に、神様に供え物をしたそうです。陽(明るいこと)が重なっても、次に陰(暗いこと)が起きないように、というわけです。同じ数字の日に節句があるのは、偶然ではないのですね。
 さて、子どもといえば「オモチャ」です。『グリコのおまけ』という本に次のような文章を見つけました。
 「子供の生活行動をよく観察していると、食べることと遊ぶことが大天職のように思える。食べながら遊び、遊びながら食べている。どちらか一方だけでは満足しない。つまりオヤツとオモチャの世界に住んでいるのである」(17頁より)
 このグリコで育った世代にとって、今、再び童心に引き戻してくれるのが、食玩―フィギアです。特に海洋堂のおまけ!動物、魚、戦車、宇宙船、童話の主人公と、どれをとっても、このフィギアはスゴイの一言。大人にとっては、コンビニで手に入る、お菓子のおまけつきオモチャです。
 この海洋堂のフィギアは、専門家からも高く評価されているようです。「これまであり得なかったおまけの題材選びにはたぶん、科学屋が参画しているだろうし、最も特筆したい部分は、完成度の高い造型を形にするための、金型技術、成形技術、塗装技術という、日本が誇る町工場の基盤技術や熟練技能が、製品の背景に存在することである。」(『私の選んだ一品』14頁より)「これは、量産品でありながら、しかもたかが『おまけ』でありながら標本かと見紛うような仕上げを実現したばかりか、企画からキャプションまでのプロセスをいっぱいに使って『小馬鹿にできないおまけ』にしてしまったのである」(同230頁より)
 この本の中で、「手間の質」という言葉を使っています。「手間の質」―私たちの仕事に、必要不可欠な「質」であるような気がしますね。





【参考文献】
1. 1.グリコのおまけ. 東京:筑摩書房,1992
2. 日本産業デザイン振興会.
私の選んだ一品.GD新書;1.東京:日本産業デザイン振興会.2002
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