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◆ヒロシの酒部屋 No.011
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「自分好みのワイン探しの会」
(写真はホームページアップ時に掲載します)

 2ヶ月前に依頼を受けていたある女性サークルのワイン会を2月19日(火)夜、当店にて開催しました。参加者は、30歳代の女性ばかり22名。顔も好みも見えないし、テーマもありません。取り敢えず、予算はそこそこあるので、表向きは、同じエリアのワインでスタイルの違う味に触れてもらって、それぞれの方の好みを見つけてもらうのをテーマとしました。それと同時に私的に状態を確認しておきたいワインを選ばせていただきました。
  以下が選んだワインとなります。会の流れとしましては、昨年訪問したドイツの話と選んだワインの場所などをスライドで説明した上でワイン試飲に突入!

1、2001 ニーダーベルク ヘルデン シュペトレーゼ
2、2002 モンツィンガー フリューリングスシュプレッヒェン シュペトレーゼ

まず、この2つのドイツワインを飲んでいただきました。もちろんモーゼルとラインを意識してもらう事も含めて!
ここでの私の誤算は、力強い味わいの2001年が熟成により味が十分集まっており、スタートのワインとしては、甘さが強すぎました。そのため、2の方がミネラル分が豊富ですっきり感があったため、評判が良かったです。そこで1を残してまた最後に飲んでいただく事にしました。ただこれだけすばらしいドイツワインがある事は、認識していただけました。私は結構、ワイン会の時にドイツワインを使うのですが、お客さんの味覚のバランスをみるのに最適ですし、味覚のバランスを良くするためにもドイツワインはとても貴
重な存在です。それに結構、質の良いドイツワインに今まで触れてない方も多いですね。

3、2005 シャブリ (生産者:ジルベール ピク)
4、2005 シャブリ (生産者:ブノワ ドロワン)

同じシャブリで違うスタイルの味を感じてもらいました。ただ濃厚な1、2の味の後だっただけに、3は少しかわいそうでした。私が前もって1を利いていれば、順番を変えていたでしょう!3のシャブリも少し温度を戻してから後で飲んでもらう事にしました。それに比べて4のシャブリは絶賛でした。私もこのビンテージは初めてだったので、このレベルアップには驚きました。以前ももちろん洗練された造りで、少しまったりしたコクがあるタイプでしたが、それにさわやかさときめの細かさが加わった見事な完璧な味わいでした。聞くところによると、この2005年でようやく彼のスタイルが完成されたそうです。全員の中で私が一番感動していたかもしれません。

5、1998 ジブリ プルミエ クリュ クラ ロン(生産者:フランソア ランプ)
6、2001 サントネ プルミエ クリュ クロ ムーシュ(生産者:ジラルダン)
7、2001 ジュブレ シャンベルタン (生産者:ルネ レクレール)
8、2000 ニュイ サン ジョルジュ (生産者:アルノー ショパン)

全て葡萄品種は、ピノノワールで、エリア違いと生産者のスタイルの違いを感じてもらいました。まず、5のランプのワインですが、とても力強い濃厚なスタイルでピークが継続しているとても良い状態でした。ただ、残念な事に、4のドロワンのシャブリがあまりに
もレベルが高すぎて、ジブリがかすんでしまいました。でも失礼な話ですが、赤のスタートとしての口直しにはなったかな!? 恐るべしブノワ!6は、きれいなスタイル、7は、いやらしいスタイル、8は、ピュアな正統派スタイル。皆さんの反応がそれぞれで、とてもおもしろい興味深い結果となりました。それぞれの方の好みを聞く事によって、アドヴァイスを差し上げたところ、皆さん、驚い
ていました。スタイルで好みがわかるとどのエリアのワインでも同じ事なので、その方へのチョイスがやりやすくなります。ただたとえば、7のワインだけで良いと言われる方は、ある意味良い味覚をもっておられますが、かなり偏ってしまう危険性がありますので、違うスタイルで同レベルのワインを薦める事によって、幅を広げられる可能性があります。なるべく良いワインの中でいろんなタイプを飲めた方が食生活を楽しめるのでその方向にいくように助言する事を心がけています。今回、ブノワのシャブリに気付いたのは私にとって大きな収穫でしたが、どのワインも状態もすばらしく、特に状態を確認したかった7、8のワインを飲んでホッとしました。
7は、予想通り、酸が元気であと2、3年置いておく必要があります。ただ味が集まってきており、彼の味も感じられ、今でもめちゃうまいのですが、この酸が馴染んだ時には驚くべきワインとなるでしょう!後悔はもっとたくさん仕入れておけば良かったこと!
8は、6年前ぐらいに飲んだ時はかなり濃厚だったので、しばらく寝かす事にしたのですが、今回飲んで見事に開いてくれていて、よく育ってくれたととてもうれしかったです。ワインにはいつも感動と驚きがあります。

筆者紹介 ヒロシとは?
岡山 宏 おかやま ひろし
1977年鹿児島県立甲南高校卒業。1982年熊本大学工学部合成化学科卒業後、三共株式会社入社。1987年三共株式会社を退社し帰鹿。岡山酒店後継。1990年店舗新築後、ディスカウント店としてスタート。1997年月酒専門店として再オープン。現在に至る。

岡山酒店
〒890-0054 鹿児島市荒田1-16-28 電話099-254-4784
http://www.connote.jp/essay/mono/mono25.htm

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写真1


写真2



   
 
 
   


◆ヒロシの酒部屋 No.009
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「行き着くところ」
(写真はホームページアップ時に掲載します)

 先日、NHKの番組の中で、82歳の寿司職人「小野二郎」さん(写真1)が出演されていました。三ツ星を取られたという事で、話題になっている様ですが、彼の穏やかな顔の表情が脳裏から離れません。(写真1)この穏やかさ、謙虚さ、そしてさらなる探究心!

 私の場合、物造りではないけど、酒屋としてこの先何か、行き着くところがあるのだろうか?と思ってしまいました。ただ最近、大保さんという繊細で透き通ったやはり寿司職人さんに出会いました。こんな方に出会うと、まだ酒屋20年ぐらいですが、この仕事も捨てたもんじゃないなと思います。彼のお寿司をいただくと何か優しさに包まれると言うか、居心地がいいのです。初めての心持ちでした。それは酒屋の特権として、彼の人柄も含めて仕事の裏側を見ているので、彼の寿司を全てを感じながら楽しむ事ができるからでしょう!その上、たぶん、私に対して少なからず、気持ちが入っているだろう!と思います。彼もまた穏やかな優しい表情をしています。
  (写真2)先日福岡の「杜の蔵」という日本酒の蔵を訪問してきましたが、右側がこの度名誉ある叙勲を賜った杜氏の末永さんであります。71歳でありますが、まだまだ現役で衰え知らずという感じです。末永杜氏もまた、穏やかな表情をされています。
ここの日本酒の酒質も表向きはとても繊細できれいな味筋ですが、奥には力があり、とても懐のある酒です。杜氏の人柄そのままという気もしますが!ただその中でも3年前に造られた無農薬の山田錦の純吟をその時、杜氏にこそっとタンクから試させていただきましたが、今でもその感動を鮮明に覚えています。  
なぜならいままでこの蔵に感じていた酒質とは別物で表に高いレベルの力強さがあったからです。その時からなかなか聞けなかった疑問を今回、やっと聞く事ができました。それは原料の酒米が良かったからですか?杜氏曰く「もちろん!ただその原料を最大限活かすために酸が強めの造りをしたけど!」
 
  そういえば、後日、奄美の黒糖焼酎の蔵元「富田酒造場」の富田さんと電話で話した 時、やはり原料の黒糖の話になりました。徳之島産の黒糖を使っている「まーらん舟」という焼酎がありますが、造り始めてこの3年の出来が毎年レベルアップしていますねと尋ねると、謙虚にも原料の黒糖がすばらしいからだと!ただもちろんこんな味にしたいというイメージも持っているし、たとえば海に近い所の黒糖を使えば、アイレイのスコッチの味の特徴である塩気を含んだ海を感じる味になるのではと思ったりはすると!遊び心も十分ですが、富田さんの電話口での声もとても優しく感じました。

 物造りは結局、行き着くところは、人であり、素材なのかな!?私もまたしばらく純粋に取り組んでみようと思っています。

筆者紹介 ヒロシとは?
岡山 宏 おかやま ひろし
1977年鹿児島県立甲南高校卒業。1982年熊本大学工学部合成化学科卒業後、三共株式会社入社。1987年三共株式会社を退社し帰鹿。岡山酒店後継。1990年店舗新築後、ディスカウント店としてスタート。1997年月酒専門店として再オープン。現在に至る。

岡山酒店
〒890-0054 鹿児島市荒田1-16-28 電話099-254-4784
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写真1


写真2


   
 
 
   


◆ヒロシの酒部屋 No.008
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「人」
(写真はホームページアップ時に掲載します)

 ある酒屋の方で、フランスでワイン生産者に会い、目を見たら、その造っているワイ ンがわかると雑誌に書いてあったが、人を見る目のない私にとって、神懸かり的な事 の様に感じる。
  もちろん目に力があるなあ〜とか、純粋さとか何かしら感じるものは、少なからずあ るが、やはり話す事によって人間を感じなければ、いろんな物が見えてこない。言葉 は大事である。語学に疎い私にとって、高い通訳料がかかっても貪欲にその造り手の 思いを知りたい。そこからワインの全貌が見えてくる。

(写真1)
写真1は、南フランスのラングドック地方のワイン生産者レイモン ジュリアン氏で ある。大変失礼であるが、風貌に似合わずとても繊細な方であったが、私は彼からワ インに対する思いを引き出す事ができなかった。たぶん、それは訪問する前に彼のワ インを十分理解していなかったため、私の気持ちを悟り、ワインの説明に気持ちが入 らず、通り一遍になってしまったのだろう。帰国してじっくりと彼のワインを飲んで みて、素朴さと繊細さとまったりしたボリュームがあり、そのすばらしさの虜になっ ている。彼の人なりが見える様な気がする。もう一度、訪問して語りたい!

(写真2)
写真2は、南仏のコート デュ ヴァントーのヴァンサンティー氏である。7年振りの 再訪問であったが、その時すでに素晴らしいワインを造っていたが、さらにかなりの レベルアップをしている。運営がうまくいっているせいか、7年前に比べて落ち着い た心持ちであったが、驕ったところもなく、謙虚に対応してくれた。その人間性がワ インの質を向上させているのだろう。ワインに触れれば、わかる事だが、以前と変わ らない姿勢に安堵した。

(写真3)
写真3は、南仏タヴェル村のモルドレ氏である。7年前訪問した時は、畑仕事から帰 ってきたばかりで疲れていて畑を見せてもらえなかったが、今回、輸入業者の稲葉さ んとのパイプが強くなっていたため、畑も隅から隅まで丁寧に説明してくれた。もち ろん前回訪問した時も超越したレベルの高さを感じたが、それがさらにパワーアップ している様に感じた。これだけレベルの高いワインだと活かして売らないともったい ない。在庫をかなり抱えながら、かなりのスローペースで売っている事を彼に伝えた ところ、彼も何か感じたのか、このワインをどうしようか迷っているんだと彼のスペ シャルワインをタンクから試飲させてくれた。試飲して何を迷っているかも理解でき た。それよりも私は、その謙虚さと素直さに感じ入った。その姿勢がある限り、彼に 追いついてこれる生産者は、なかなか出てこないだろう。高いレベルの味だから全て のお客さんがわかるわけではない。だから味が表に出てくるまで待って売らざるおえ ない。私の自己満足と何人かのレベルを感じてくれるお客さんのためのワインでもあ る。

それが次の焼酎でも言えることである。

(写真4)
写真4は、天草酒造の若き杜氏である(一番右)。味覚のすぐれた指導者が別にいる わけだが、この若い杜氏は自分の味覚の能力を謙虚に受け止め、理解をし、それをカ バーするため、ひたすらまじめに手を抜くことなく、焼酎造りに取り組んでいる。も ちろんその指導者の元、そういう人間が造る焼酎のレベルは、かなり高い。だが、上 のワインと同様にレベルが高く繊細な味のため、わかるお客さんが少ない。だから同 じ様に少し時間を置く必要がある。来年の4月ぐらいになると味が落ち着き、乗って きて味が表に出てきて、わかる方が増えてきて、たぶんそのうまさに驚き、騒ぎ出す 事になるだろう。
いずれにしてもワインにしても焼酎にしても「人」が大事である。

筆者紹介 ヒロシとは?
岡山 宏 おかやま ひろし
1977年鹿児島県立甲南高校卒業。1982年熊本大学工学部合成化学科卒業後、三共株式 会社入社。1987年三共株式会社を退社し帰鹿。岡山酒店後継。1990年店舗新築後、デ ィスカウント店としてスタート。1997年月酒専門店として再オープン。現在に至る。

岡山酒店
〒890-0054 鹿児島市荒田1-16-28 電話099-254-4784
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写真1


写真2


写真3





写真4




   
 
 
   
◆ヒロシの酒部屋 No.007
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「ワインも料理もイメージ?」
(写真はホームページアップ時に掲載します)

 先日、鹿児島のル ガブローシュというフレンチレストランにて10人程度でワイン&食事会を催しました。シェフの料理には、良い素材を使い、そして素材を最大限に活かした上でとても繊細なきれいな流れを感じます。
  彼の店にはほとんど南仏のワインはないので、今回は敢えてコートデュローヌのワインを用意しました。私のワインのチョイスは、基本的には料理に合わせるのではなく、料理人のレベルとスタイルに合わせます。もちろん彼には前もってローヌのワインと言えども繊細できれいな味のワインを準備すると伝えておきました。以下がそのワインです。(赤だけ掲載)

1、1996 クローズ エルミタージュ レ ピエレル
2、1996 クローズ エルミタージュ キュヴェ ルイ ベル

 造り手のアルベール ベル(写真1)ですが、とてもきれいな味筋のワインを造っています。97年に訪問した時に清潔な醸造場と味に共通性を感じました。ただ、シラー100%なので、その年の葡萄の出来にかなり左右され、味の落ち着きの時期や飲み頃を把握するのがとても難しいワインであると認識しています。この96年も7年前ぐらいに入荷した際、味が集まっておらず、落ち着きがなく、ただボリュームはあったのでしばらく熟成する事とし、98年産は試飲して全く良さを感じられなかったので、そのままにしているし、だけど99年産の様にいきなり凝縮感がありうまい年もあります。このワインを最大限に活かして売ろうと思えば、やっかいなワインです。
味筋はきれいでシンプルに感じられるのに、奥には力を秘めているのでしょう。まじめな洗練された造りからくる味の中にきれいさと骨太さが同居しています。
さてこの1、2は畑違いですが、熟成によりとても良い状態になっており、健康でイメージ通りの味筋でしたので、シェフのきれいな料理にも合い、スタートのワインとしては上々でした。

3、1997 ケラーヌ ルージュ レゼルブ デ セニョール
4、1997 ケラーヌ ルージュ キュヴェ プレスティージュ

3、4のワインを造っているのは、写真2のアラリーさんですが、コートデュローヌの南部の生産者であります。1、2の様な北部のワインと違って、葡萄品種を混醸させ、味わいによりボリュームと複雑さが出てきます。しかし彼のワインは、ローヌらしからぬ繊細で奥に力を秘めた懐のある優しい味わいとなっております。ただ彼のワインもやっかいなワインで、年によっては彼らしい味わいが出てくるのに何年もかかる場合が多々あります。この97年もそれほど強い年ではないが、味が固くてどうしようと思っていました。それが今回、3の方はピークの状態を迎え、4の方はようやく味が集まって凝縮感が出てきて最高の状態を迎えようとしていました。1、2のきれいな味から、3、4のより複雑だけど繊細で上品なボリューム。ワインもイメージ通りで彼の料理とも最高に合い、最後のワインに移っていきます。

5、1996 エルミタージュ
6、1995 エルミタージュ

1、2の上のクラスのワインですが、このクラスのワインを飲むと96と95の年の違いが鮮明に感じ取れます。96年だけを飲むと十分なボリュームでとても完成されたうまさを感じますが、95年はさらにバランスときめの細かさが一ランク上です。
でもそれを感じられるのもワインの醍醐味だし、葡萄が農作物である事を再認識させてくれます。チョイスした全てのワインの健康状態も良く、それぞれの生産者の味わいも熟成により十分活かされ、ワインの流れも良かった様に思います。
このシェフの様な洗練された感性のある繊細なきれいな流れの料理にはボルドーやブルゴーニュのワインが合わせやすいのですが、そのワイン生産者のスタイル、味筋、レベルを感じ取っていれば、どこの地域のワインでもOKです。
結局、ワインも料理も人が関わっているわけですから、人間性とスタイルのイメージを感じ取っていれば、流れは造れると思います。

筆者紹介 ヒロシとは?
岡山 宏 おかやま ひろし
1977年鹿児島県立甲南高校卒業。1982年熊本大学工学部合成化学科卒業後、三共株式会社入社。1987年三共株式会社を退社し帰鹿。岡山酒店後継。1990年店舗新築後、ディスカウント店としてスタート。1997年月酒専門店として再オープン。現在に至る。

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写真1








写真2



   
 
 
   
◆ヒロシの酒部屋 No.006
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「予想ができないヴィンテージ」
(写真はホームページアップ時に掲載します)

  一般的なヴィンテージ予想とは異なる場合が多々ある。これが意味するものを生産者の感性とワインの生命力から感じる事ができる。
  たとえば、フランスの2003年と言ったら、とても暑くて葡萄がかなり熟したために、ボジョレーヌーヴォーの出来が最高であったが、その反面、酸が弱くて長熟させるには難しい年であると一般的には言われた。コート デュ ローヌでも同様な感であったが、コート デュ ヴィヴァレのアラン ガルディ(写真1)のワインはそれを覆した。2003年は雨が少なく、9月になって葡萄も完熟の状態になっていたため、ほとんどの生産者は収穫を急いだ。しかし彼は、まわりの生産者達から小馬鹿にされながらも収穫を待った。すると雨が降り出し、そのおかげで葡萄のストラクチャーにミネラル分などの複雑さがはいった。その後、雨が止んで収穫を始めたのである。
  その結果がワインを試飲してはっきりと感じる事ができた。程よい酸があり、それが味わいに力と複雑さを与え、まさに長熟タイプのワインになっているのである。一日のほとんどを畑で過ごす彼にとっては、畑との会話の中での当たり前の行動をとっただけなのだろうが、彼の勇気に敬服したい。

 二人目はブルゴーニュのムルソーに本拠地を持つヴァンサン ジラルダン(写真2)であるが、彼の1997 マランジェ クロ デ ロワイユ VVのワインについて述べてみたい。1997年のブルゴーニュは、一般的に早熟というか早めに飲んでうまい年であると言われているが、このワインを6、7年前に当店に入荷した時、試飲して驚いた。あまりにもボリュームがあり力強く、これは良くなるだろうと判断し、熟成させる事にした。そして最近になって、飲んでみたところ、いまだにピークではないが、芳醇でとても良い状態になってきている。彼の1997年の収穫時の情報は持っていないが、上のアラン ガルディと近い状況があったのかもしれない。

 三人目はドイツモーゼル地方の著名なワイン生産者フリッツハーク(写真3)。彼のワインは、基本的にとても軽快で切れのあるさわやかな味わいの白ワインであるが、1998年の彼のグーツワインQ.b.Aの7年前に飲んだ印象は、私が98年にイメージしている通りの少ししまらない味であった。それが先日飲んだところ、味が集まり、そしていい具合に開いていてうまいのである。ここにきて、華開いたのである。
いつもながら、ワインの生命力には驚かされる。まさに生き物!

写真4の生産者は、ジゴンダス村のイブ グラ氏である。彼のワインの2005年産のテイスティングの中で、彼は自分のワインの本質を理解してもらいたいという事で、デキャンタしてくれた。こういう良い年のワインは、ロバートパーカーも評価してくれるが、2002年の様に雨の多い良くない年のワインは低い評価をするためそれだけでワインが売れない。そこでその2002年のジゴンダスを試飲させてもらったが、彼のワインの特徴が良く出ていて、うまいのである。さらにこんな年は、上のクラスの葡萄を格下げしてブレンドするため、お買い得なのである。こんなにも早く彼のワインの本質を感じ取れるのはとても幸せな事で、良い年のものを強引にデキャンタして開かせて飲むより、ずっとおいしく自然に飲める。ソムリエは、デキャンタしたがるが、デキャンタしないと開かないワインなんて私は飲まないし、売りたくない。ある程度、何年か置いて味が落ち着いてきたら、デキャンタしなくてもゆっくり時間をかけて楽しむ事ができる。ピークまで待つという事ではない。その生産者の酒質を理解していくらか時間の余裕を与えてあげるということで、そうでなければ、ワインは活かされない。イブ グラ氏の2002年ジゴンダスは、悪い年にもかかわらず、これだけすばらしいワインに仕上げ、彼のスタイルの味を早くから、楽しむ事ができるのだから、高い評価を与えてもいいのではと思う。この様なすばらしい造り手達は、悪い年でもすばらしいワインを造ってくれる。
つまり、心配しなくても、予想ができなくても、良い造り手のワインは、安心して飲む事ができるのである。 

筆者紹介 ヒロシとは?
岡山 宏 おかやま ひろし
1977年鹿児島県立甲南高校卒業。1982年熊本大学工学部合成化学科卒業後、三共株式会社入社。1987年三共株式会社を退社し帰鹿。岡山酒店後継。1990年店舗新築後、ディスカウント店としてスタート。1997年月酒専門店として再オープン。現在に至る。

岡山酒店〒890-0054 鹿児島市荒田1-16-28 電話099-254-4784
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