クインテッセンス出版「歯医者さんの待合室」 1999年8月10日発行



私の街にきてください  1999.10.08




私の街日南市は宮崎県の南東部、日南海岸国定公園の中心に位置し、人口約四万六千人の街です。今回私たちが宮崎空港からのドライブナビゲーターとなってガイドブックには載っていないような地元ならではの情報を交えて御案内します。


宮崎空港から海岸線を南下し
まずは堀切峠からの大パノラマを

宮崎空港は太平洋に臨み、着陸の際には大海原とそれに隣り合う青々とした松林、その中に点在するフェニックスシーガイヤの諸施設が眼下に広がります。空港を出て海岸線を南下、一路日南へ向かいましょう。空港からはワシントニアパームの並木が美しいバイパスが一直線に伸びています。バイパスを走り始めて間もなく、例年二月になると巨人軍の春期キャンプでにぎわう運動公園が見えてきます。運動公園を抜けると青島、ここはその昔新婚旅行のメッカとして有名でした。今でも、テーマパークの元祖「子供の国」は健在で、一年を通して親子連れやカップルが足を運びます。毎年三月下旬に開かれるフラワーフェスタは全国春一番の花盛りイベントです。また青島で有名な食べ物として「ういろう」があります。道路沿いに並ぶういろう屋さんには、かつてのういろう娘が立ち、お店によって微妙に味が違うとか。知る人に聞くとそれぞれに贔屓があるそうです。青島を抜けると鬼の洗濯岩で有名な堀切峠に近づきます。実はこの峠の手前のくねくね坂道は山桜が大変きれいなスポットでもあります。三月中旬頃から咲き始め五月初旬頃の葉桜まで楽しめます。坂道をのぼりきると視界がぱっとひらけてそこは堀切峠。峠の真下に広がる鬼の洗濯岩、その向こうには地球は丸いを実感させるどこまでも続く水平線。海は広いな大きいなの唄が聞こえてきそうです。天気の良い日には海の青と空の青が一体となってどこまでもどこまでも青が続きます。


お昼はボリューム満点の焼き魚定食と逸品・サボテンステーキで・・・

太平洋の大きさと爽やかな潮風を満喫した後は富土海水浴場を横目に見ながらお昼ご飯の「いもとドライブイン」へ。ここの名物はなんと言っても焼き魚定食、ひとつひとつの量が多いため、二、三人のグループならばそれぞれ別メニューを頼む方が良いでしょう。定食についてくる味噌汁が味、量ともに圧巻。満腹になったところで「サボテンハーブ園」で散歩。もうちょっとお腹に入れたい人にはサボテンステーキ、非常にカルシウムが多く牛乳の二十九倍とか。味に関しては渡辺文雄さんが本の中で、『味は、心地良い歯ごたえと適度の酸味がなかなかの良しで、思いもかけない逸品との出会いであった。』と書かれています。


なぜかモアイ像の「サンメッセ日南」から朱塗りの神殿が青い海にはえる「鵜戸神宮」

サボテンハーブ園を後にすると今度は山手に「サンメッセ日南」があります。太陽と南洋浪漫がコンセプトで、世界遺産のひとつイースター島のモアイ像の完全復刻像が七体並んでいます。なぜここにモアイ像なのか、また日南とのつながりがよく分かりませんが不可解もロマンのひとつという事でしょうか。モアイ像を後にして車で五分も走ると「鵜戸神宮」に着きます。ウガヤフキアエズノミコト(神武天皇の父)が祭ってあり、ここは春先にとてもきれいな鴬の声を聞くことができます。運玉を神宮下の亀の形の岩の穴に投げての運だめし。


天然の良港・油津の街には旨い魚、旨い肉、そして焼酎あり

さて空港から国道220号線を車で約一時間で日南市街地、まずは油津の街にはいります。天然の良港油津港を有しマグロとカツオで有名な港町で、寅さんの第45作目『寅次郎の青春』の舞台となった乙姫神社や堀川運河、眼鏡橋もこの街です。梅が浜ではサーファーが年中サーフィンを楽しみ近くの砂浜には五月頃になると赤ウミガメが産卵に訪れます。天福球場では二月と十一月に広島カープがキャンプインします。キャンプ中は飲み屋さんで結構カープの選手と一緒になりますが、きちんと門限は守られるし、謙虚な選手方の態度には感心させられます。野球といえばもう一つここ数年毎年のように甲子園を沸かせる日南学園もここ日南です。名将小川監督は関東からこちらへ来られた時『日南は空気がきれいで水が美味しい。魚は旨いし、米も旨い、おまけに肉まで旨い』とビックリされたそうです。前出の渡辺文雄さんが別の本の中で油津の料理屋「旬・山岡」を紹介されています。私たちもよく食べに行きますが、旬の魚もさることながらいつ行っても笑顔で迎えてくれる大将の人柄が美味しさの秘訣なのかも知れません。肉ならばなんと行っても「戸村」の焼き肉です。焼き肉レストランとビアガーデンが堀川運河沿いに有ります。たれや塩コショウを付けなくても十分に味わえる肉です。しかも安価。ここの肉は旨い、安い、厚い。また市内には何カ所か焼酎の蔵元もあり、地元の焼酎と肉と魚がぴったり合います。



小京都・飫肥の味巡り 間瀬田の厚焼き卵・おび天・おきよ煎餅

海を背に西に向かって山の方へ走ると飫肥の城下町にはいります。途中王子製紙のパルプ工場が見えます。日南工場では、使う水のためか日本全国に何カ所かある工場の中でももっとも白い紙ができるそうです。飫肥の街には1588年に伊東祐兵(すけたけ)が入城して以来明治初期までの280年間、伊東氏の居城であった飫肥城(スライド2)が有ります。加えて城下町に旨い物有りといわれるように名物が幾つか有ります。まずは、その昔殿様しか食べられなかった「間瀬田の厚焼き卵」。門外不出の秘伝のだしで卵を溶きじっくり焼き上げた厚焼き卵はまさに殿様のプリン、その上品な味わいには小京都といわれる飫肥の街の歴史を感じます。現在十代目泰右衛門さんが焼いていらっしゃいます。次に「おび天」、飫肥の庶民の味として親しまれてきた天ぷらです。何種類もの魚のすり身に豆腐、黒砂糖、味噌を混ぜ合わせ菜種油で揚げてあり、ネコがこれを食べるともう他の物は食べなくなると言われるくらい美味しい天ぷらです。もう一つは「おきよ煎餅」、お茶請け、特に抹茶に合いそうなこれまた上品な味です。地元でも予約しておかないとなかなか手にはいりません。



隣町・南郷町と北郷町で美味に舌鼓をうち、温泉にひたるもよし

日南市の南隣が南郷町で、世界的マラソンランナー谷口浩美選手のふるさとでも有ります。ここのおすすめはなんと言っても目井津の港に揚がる新鮮な魚、さらに秋になると伊勢エビ料理に舌鼓。南郷駅前の「鳥金」のカレー鍋は一見ならぬ一食の価値有り。鰈鍋にあらず、カレー鍋なり。カレー味のしゃぶしゃぶで牛よりも豚の方が美味。南郷町には「南郷プリンスホテル」が有ります。このラウンジから眺める海は最高とか。たまに西武ライオンズがキャンプします。またオフシーズンの栄松のキャンプ場で持参のお弁当を食べると、潮風の風味がのってこれまた美味しい。目の前の海をグラスボート(マリンビューワーなんごう)がゆっくりとめぐります。温暖な気候を生かしてのポンカンや日向夏などの柑橘類、最近では完熟マンゴーが有名。
さてそろそろ宮崎空港に引き返しましょう。帰りは山沿いの道で帰ります。日南市の北隣が北郷町で、温泉とゴルフ場付きの北郷フェニックスホテル、昔からある北郷温泉、蜂の巣キャンプ場などアウトドアも十二分に楽しめます。県道日南高岡線沿いにある大戸野即売所は婦人会が中心となり地元に伝わるものを商品化し設立したお店で、あくまき、草だんごなどが人気です。このルート、春先には山桜、五月の藤、夏になるとセミ時雨とただ単にドライブを楽しむのにも最適の道です。北郷を抜けて田野町にはいり田野インターから高速にのって宮崎空港へ。



時間があったら、末吉町の地鳥料理「愛の里」宮崎市・蕎麦の「哲心」へも・・・

もう少し時間がある方には番外編のスポットを教えましょう。日南市から西に車で40分も走ると鹿児島県末吉町です。ここにある「愛の里」、地鳥を食べさせてくれます。東京からの友人を案内したところ一口食べて唸っていました。『これが本当の地鶏なんだ、今まで食べてきた鳥肉はいったい何だったんだ』。ここの地鶏は確かに足を運ぶ価値のある味です。また宮崎空港から北西に車で約一時間 、ヤクルトのキャンプ地西都市があります。ここのうなぎ屋「入船」。ここも唸ります。定食についてくる呉汁とうなぎの相性が何とも言えず癖になります。宮崎市内にもたくさん見どころ食べどころはありますが、ふたつだけ。宮崎市昭和町の「わらべ」のチーズ饅頭。これは私らの独自の調査によるとダントツに美味しく、金メダルどころかプラチナメダルをあげたいくらいです。ここ一店舗でしか買えませんのであしからず。宮崎市中心部山形屋デパート隣、蕎麦の「哲心」。可能ならば夜のコースを食べて欲しいのですが、昼間の蕎麦ももちろんすごい。

というわけでやっと空港に着きました。空港でのお土産にはおび天、焼酎、大野屋のらっきょうがおすすめです。2000年7月にはサミットが開催されます。この時期をはずしてどうぞ宮崎日南へお越しください。

参考文献 渡辺文雄
   1992「舌つづみ各駅停車(主婦と生活社)
   1998「日本美食紀行」(小学館文庫)




予防メニュー「ハッスル隊」が大活躍!


さて街の紹介では食べることばかり案内しましたが、臨床に携わっているとやはり食べ物抜きには歯科臨床は考えられません。常に歯科臨床と食事は隣り合わせで、それはあたかも食材と調理法、料理と器のように密接に関連しているような気がしてなりません。
日南で桜歯科を開業して早九年が経とうとしています。開業前は鹿児島市内の歯科医院に勤務していました。日南に帰ってきてこちらの診療所を回って気がついたことが有ります。ここに割と昔から有る診療所には外待合いが有ったり、椅子が軒先や玄関前に置いて有ったりするのです。鹿児島市内は桜島の灰が降るためこのようなことは皆無でした。やはり地域によって何かしら特色があるものだと思いました。
現在の日南の特色といえば、やはり65歳以上の方が多いことではないでしょうか。市役所の資料によると1999/4/1現在で65歳以上の方が10560人、市の人口(46020人)の23%に当たります。
また現在日南市内には21カ所の歯科診療所があります。桜歯科では近所に市内で一番多い児童数の小学校があること、高齢者の方が多く住むエリアであることなどを考慮し、フッソのFとフルデンチャーのF、ふたつのFでFF診療をメインにしています。
まず予防のメニューとしては「ハッスル隊」。開業当初下校途中の小学生をどうしたら予防に引き込めるかを考えました。そこで始めたのが第一次ハッスル隊、学校帰りに歯ブラシ持って寄ってもらいました。磨いた後にチェックして、きれいに磨けた歯の本数を棒グラフへ記入、100本に達した人はハッスル4級授与、少しずつ内容を変えてゆきハッスル1級まで授与しました。お陰でかなりの小学生が帰りに道草してくれるようになりました。
そこで92年秋より第二次ハッスル隊発足。これが現在の有料ハッスル隊です(別紙、カード参照)。中学生にあがるとクラブ活動などによりハッスル隊を卒業してゆきますが、常時30名近くの隊員がハッスルしています。12月には年一回のハッスル大会も開催します。その時のテーマソングはヴァンマッコイの「DO HUSTLE」。
義歯に関しては10月8日を「入れ歯の日」として「入れ歯供養」を行っています。使えなくなった古い入れ歯を供養し、新しい入れ歯と患者さん、入れ歯に携わる人々の健康を祈願します。
またメンテナンスのひとつとして、PMTCを「お口の健康管理システム オーラルエステ」という位置づけで行っています(別紙参照)。現在会員数は100人を越え、年齢層も十代から七十代までと幅広く、あらためてニーズの大きさに驚いています。
あるセミナーで「CUREからCAREへ、CAREからHEALTH PROMOTIONへ」と習いました。これをもじって「CUREからCAREへ、CAREからCOMMUNICATIONへ」。
こけて膝を切って三針縫った-これはCURE-治療。こけたけど唾を付けたら治った-これはCARE-手当。そこに石が有るから気を付けて!-結果、転ばずに済んだ、これがCOMMUNICATION-情報。すなわちCCC。これからは歯科もCCCの時代。
このようなことを踏まえてハナ通信(年四回発行のミニ新聞)をだしています。丸九年経って結局のところ歯科診療は地道なことの積み重ねのような気がしてきました。



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