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◆ヒロシの酒部屋 No.018
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「汚染米から見えてくるもの」

起きうる事が起きてしまった感がありますが、農水省や業者の最低のモラルはさておき、今回の事で見えてくる味や味覚について私なりに述べてみたいと思います。
  まず焼酎に関しては、米の使い道は米焼酎以外は、麹用として米がメインで使われます。蒸した米に麹菌を振って米麹を造り、それを酵母に与える事によって、良質な元気な酵母を造り、2次仕込みにつながっていくわけです。そこでその問題の米ですが、マスコミ等で内地米が一番安全で良い米で、外米が問題であるかの様に報道されていました。しかし一番大事な事は、出来上がった焼酎を飲んでどうなのか、どう感じるかの方が余程大切であると思います。
  ただ味覚の世界でどれが正しいかを論じるのは難しく、私の感じ方に賛同される方がどれだけおられるかわかりませんが、造り手の思いやレベルアップを感じる事が私の仕事に対する全てだと思っていますので、敢えて続けます。

たとえば川辺に高良酒造というすばらしい芋焼酎の蔵がありますが、そこに八幡(麹米がタイ米)と田倉(麹米が内地米)の2種があり、どちらが完成度が高いかと言えば、ほとんどの方が八幡と言うでしょう。つまりタイ米という外米は、信頼できるものを使えば、鹿児島芋焼酎らしいとても素朴でわかりやすい味わいに導いてくれます。その上、価格的にも庶民の味方です。逆に内地米を麹米に使うと、とても上品できれいな味になる反面、造りが悪ければエステル臭やアルコール臭が強くなり、骨太さやコク、とろみがなくなり、平坦な味わいになります。つまりより繊細な素材を使えば、より一層の丁寧な造りとレベルが必要となるという事です。
  つまり、まじめで謙虚な姿勢で前向きに良い焼酎を作ろうと努力している蔵元は、少なくとも素材(米、芋など)の出所は把握しているはずで、外米であろうが、内地米であろうが、間違いのないものを使っているはずであると思っています。いくら巧妙な手口と言えども、残留がなく健康被害がないと言えども、なにかしら味に反映しているはずです。こういう事件が起きるたびに、味の話ではなく、材料の話になってしまいますが、一番私達が求めているのは、まじめなすぐれたおいしいものです。いい材料、高い材料を使っても、おいしいものができるわけではありません。
  全ては蔵の姿勢です。そういう蔵にとって、今回の問題なんて、問題外です。間違いのないものを使うのは、当たり前の事ですから!私達の様に味覚の世界にいる人間は、日頃から食を意識し、まじめな味とはどんな味なのかを舌で感じ、それを基本にしてよりすぐれた味をお客様に伝えていくのが仕事のはずです。まじめなすぐれた味には、嘘はありません。そしてその味を造っている造り手(蔵)に触れれば、それが確信となります。これからも私は、人と味で判断していきたいと考えています。おいしいものを飲みたいので!

(絵1)
ちなみに絵1は、天草酒造(池の露)の麹用の無農薬のコシヒカリの収穫後です。
 
(絵2)
そしてその米で作った握り飯です。私は日頃から無農薬玄米を食べていますが、この米はもっちりして信じられない程、うまいです。ここまでうまい米を麹米用に使うなんてもったいないと思うのは私だけでしょうか!ここの蔵には今回の問題は無縁のものです。

筆者紹介 ヒロシとは
岡山 宏 おかやま ひろし
1977年鹿児島県立甲南高校卒業。1982年熊本大学工学部合成化学科卒業後、三共株式会社入社。1987年三共株式会社を退社し帰鹿。岡山酒店後継。1990年店舗新築後、ディスカウント店としてスタート。1997年月酒専門店として再オープン。現在に至る。
岡山酒店
  鹿児島市荒田
ヒロシへのメールはこちら
bonbon@ml.satsuma.ne.jp
参考までに

http://www.connote.jp/essay/mono/mono25.htm




































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絵1

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