オススメ.65







「どこへも行かない」旅
林望 光文社 1700円+税
「どこへも行かない」旅

 まずは、次の文章を読んでみて下さい。
 「時計のねじを巻く(最近ではねじ巻き時計なんか殆どなくなってしまったけれど)ことを、英語ではワインド・アップという。これは、たとえば、気合いを入れてねじり鉢巻き、仕事に専念するようなことにも使うことができる表現である。
 しかし、人間、ワインド・アップばかりしていられるものではない。そんなことをしたら、心の休まる時が無くてついにはねじを巻き切って病気になってしまうかもしれない。だから、時には心のねじを緩めて、心身ともにリラックスする必要がある道理である。このねじを緩めるほうを、ワインド・ダウンと言う。」(8ページから)

 アレッと思われた方は、ハナマルメールの愛読者の方です。そうです、ハナマルメールのタイトルに引用している五木寛之氏の文章と似ています。カルノなりに理由を考えました。リンボウ先生と五木氏の共通点は「作家であり、旅好き」、もちろん他にもあるでしょう。旅好き共通の認識がこのワインド・ダウンかも知れません。
 今年も来月、フランスに行きます。「現場主義的読書愛好家」のカルノとして、旅のおともは、もちろんこの本です。実は今回行く場所が、現在刊行中の奥本大三郎訳「完訳ファーブル昆虫記」の場所とほぼ一致します。少々重くなりますが、おそらくこれもリモアに入れることになると思います。

「現場主義的読書」についてはこちら

http://www.connote.jp/essay/starbooks/2005/cafe56.htm




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