1999.05.17 丑年生まれ |
ご案内の通り、干支は12年に1度巡ってくる。12才の小学6年生、24才の大学6年生、そして今年歯医者12年生の36才。そこで干支にちなんだ本、奥本大三郎著の『干支セトラ、etc.』(岩波新書)を開いてみた。以下抜粋引用。 「英国では十九世紀の前半までは大型晩熟な肉牛を飼育しており、若いうちは低い栄養水準で飼って5歳ぐらいから肥育し、厚い皮下脂肪をつけて出荷していた。この脂肪には二つの意味があった。一つは薪や炭の直火であぶり焼きにするとき、肉が焦げないように保護をする役目(protectfat)であり、もう一つはスコットランドの生産地帯から消費地ロンドンまでウシを歩かせて移動させる長い旅行中のエネルギー源として必要なのであった。」 なるほど小生も最近このprotect fatがかなり着きすぎて三年前より歩き始めたところ、約10キロの減量に成功した。さらにこの本は次のように続く。 「ところが産業革命が起こり、鉄道網が発達した。家庭燃料もまた薪や木炭から石炭となり、直火でなく、オーブンで焼くようになった。その結果大型晩熟な種から小型で早熟早肥な種へと移行することとなった。さらにこの時代に義歯のすぐれたものができるようになり、それまで牛肉をあきらめていた老人たちが再び肉にかぶりつくようになった。噛みしめて味がある肉よりとにかく柔らかい肉をということになり、結局科学の発達が英国産牛肉の風味を落としたことになる。」 干支のウシから義歯まで話が飛ぶとはいささか驚いたが、さらにこう続く。 「何であろうとゆっくり時間をかけてでき上がるものにはそれだけの複雑な味わいがある。」 まさしく同感で、小生もこのような歳のとりかたを心掛けたい。そしてこう締めている。 「そして今の日本の問題は、老人よりむしろ若者がひたすら風味よりも柔らかさを求めていることにあるといえるであろう。」 追伸 これは思い出しニッキ 97年1月 |
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