2001.2.28
「ハツネでハルネ」
 前回のニッキで、メジロが来ないと書いたら、先日、来ました、来ました。加えて、朝自宅を出る時に、聞きました、初音を。
 メジロが来たのは2年ぶりでしょうか。仕事場の前の桜の木にミカンをさげておくと、まずは好奇心の強そうなメジロが1羽、2羽。安全だと、もしくはこのミカンは美味しいとわかると、仲間を呼ぶのでしょうか、十数羽飛んできます。ガラス越しにおなかを見られているのを知ってか知らずか、一生懸命にミカンを啄んでいます。あと何日、この可愛らしい姿を見せてくれるのでしょうか。
 今頃のウグイスはまだ鳴き方が下手です。上手になる頃には、メジロは山に帰り、桜の季節となっていることと思います。
 ところで、日南ではしっかりと春を感じることができますが、先日、東京出張の際に冬の名残よろしく、鮟鱇鍋を堪能してきました。もちろん神田のいせ源。今回は友人のドタキャンにあい、独りで鍋をつつきました。予約は6人以上とのことで予約できず、店の前で待つこと30分。結構寒い日でしたので、空腹のお腹はさらに空腹感に苛まれ、居た堪れず真向かいの竹むらに、持ち帰りの揚げまんじゅうを買いに入ったら、「本日、持ち帰り分は売り切れです」とのつれない返事。空腹感が絶好調に達した頃、「はい、お待ちの方」。先程まで閻魔様に見えていた、ドアマンならぬがらり戸のおじさんの顔が、今度は仏様に見えて、トントンと二階へ。独り故か、通されたのは壁際の座ぶとん。コンロに鍋が掛けられ、準備万端相整い・・。しかし、ここではルールがあって、お姉さんのお許しが出るまでは、決して箸を付けてはいけない。待つこと暫し。空腹故に眼光鋭く、見えますものは、小振りの椎茸、絹さや、銀杏、三つ葉に独活。見え隠れするは、白滝に焼き豆腐。深海魚よろしく、鍋の底には鮟鱇が潜む風情。姿見えねど柚子の香り。徐々に、割下の甘い醤油の匂いが鼻をくすぐり、キャリアのなせる技か、ドンピシャのタイミングでのお許し。鮟鱇の口のごとく大口開けて・・。もちろん最後は、雑炊でトドメ。この雑炊の美味いのなんの。三つ葉や独活、鮟鱇が前座で、この雑炊は真打ち、と言いたいくらい。
  今回、独りでの鍋故に、この雑炊の美味しさにあらためて気が付いた次第です。実は、もうひとつ気が付いたことがあります。来られている方々の風情です。何か訳ありそうな、匂うようなご関係の方々もちらほらお出でのようで。やはり鍋は独りにかぎる?