2002.09.05
「九月の風」
スピーチ・バルーン
-九月の風  友人への追悼文

細い影は人文字
海の背中に伸びている
君は春の客船
冬の港見てるだけ
-九月の風とは、彼とともにつくったバイク好きのサークルである。

言いそびれて白抜きの言葉が
風に舞うよ
音の無いスクリーンだけを
眺めてるように
-大学1年のある日、仲間の誕生日を聞いてみてビックリ、ほとんどが九月生れ。
-すぐさま長月会結成。

吐息ひとつスピーチ・バルーン
声にならない飛行船
君は耳に手を当て
身をよじるけど何も届かない
-合コン、飲み会、試験前の一夜漬け等々と、何をするでも一緒。

投げた Tape 絡まり
気まずさだけ伝わって
動き出したデッキは
君の人生運び去る
-そんな仲間の中で、いつもクールな表情が彼。

言いそびれて白抜きの言葉が
波に浮かぶ
想い出のブラス・バンドが
耳元を過ぎる
-2002年9月、いつしか秋風が吹きはじめた。
-もう彼は、いない。

暗い海に向かって
ヘッドライトのパッシング
君は泣いているのか
もう遠すぎて何も映らない

 1981 EIICHI OHTAKI A LONG VACATIONより