no.77
2011/4
「意志権利根性勇気アスパラガス」

中田美子


「やりたいことは今やる」

東日本大震災でいろいろなことを考えました。考えるなかで「考えるだけ、思うだけでは無意味!」とも強く思い、しっかり行動に移すべきだと確信しました。

開業して21年の月日が流れる中、今年始め、カルノの銀座の師匠(総義歯の大家)との電話で「20年以上経つ中で進歩はしたけど進化していない」と、思わず師匠に話していました。ある程度の進歩(技術の上達)はあるかも知れないけれど、歯科医師として進化していない!ここでの「進化」とはズバリ「後手後手医療から先手先手予防へ」です。

自己弁護のようで恐縮ですが、年を経る中でいかに歯科医師として完璧な仕事をしていないかと言うことを、来院者の方の口の中を見るにつけ思い知らされます。手を付けた(治療した)歯が数年経って再発したり、悪化したり・・。反省しきりなのですが、一方「人がヒトを治療することの限界」も感じます。では歯科医師にとって完璧な仕事、言い換えれば歯科医師として最良な仕事、より世のためヒトのためになる仕事とは何か?カルノの答えは「先手先手予防」です。歯の治療ではなく、健康な歯を守ること。歯医者なら治療が仕事ではないの?との声が聞こえてきそうです。おっしゃる通りです、がしかし、より良いより完璧な仕事を目指そうとすると限界が見えてくるのも事実なのです。

生えてきた時は「健康な歯・白い歯」です。それを守ることは可能です。ではなぜ、それが一般的でないのか。ひとつの要因としては、歯科医師が「私の仕事はムシ歯ありき」という教育を歴史的に受けてきたことが有るように思われます。ムシ歯という病気があるから治療も存在するわけですが、そのムシ歯がほぼ完全に予防できることを知ってしまった今、歯科医師として進化すべきだと強く思うのです。

仕事の定義はいくつかあるでしょう。今回、仕事を次のように定義しました。「一見不可能に思えることを可能にする」です。可能なことだけをやることは仕事ではなく、単なる処理作業であり、カルノのいう仕事とは「100にひとつでも、10にひとつでも不可能もしくは困難と思われることが含まれることを遂行すること」です。

後手後手医療から、先手先手予防へ。ムシ歯ありきから白い歯ありきへ。好きな言葉を最後に添えます。1969年7月21日にアームストロング船長が人類初、月に降り立った時の一言。

「That’s one small step for a man, one giant leap for mankind.」





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