no.59
2006/10
「芋豆や月も名をかへ品をかへ」

松江重頼(まつえしげより) [江戸初期の俳人 1602-1680]

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ぎおん琢磨

店内

泡醤油

泡醤油

泡醤油

 まずは掲句の解説文から「季語を知っていないとさっぱりわからない句がある。仲秋の名月が「芋名月」で、それより約一月遅れの「十三夜(後の月)」は「栗名月」あるいは「豆名月」と呼ぶ。句意はつまり、「芋名月」だの「豆名月」だの、お月さまも忙しいね、である」(食の一句 170頁から抜粋)。

 さて、今回京都で「名をかへ品をかへ」を体験しましたのでご報告。九月の初めのことです。お昼に京都「ぎおん琢磨」に足を運びました。住所は「東山区大和大路通四条上ル二筋目東入ル末吉町」。いわゆる祇園白川、京料理の真骨頂と胸もおなかもふくらみます。細く長い路地をはいり、くの字に曲がると暖簾。はやる心を鎮めつつ中へ。落ち着いた照明の中にまっすぐ伸びる板のカウンター、その先は白川。心憎いを越えた演出に、はや唾(つばき)湧き、ゴクリ。
 二品目のお刺身の時、生まれて初めて「泡醤油」を体験しました。刺身とともに出された小皿には、ピンポン玉大のコーヒームースのようなものが載っています。黒ビールの泡のような感じで、御主人が「泡醤油です、お刺身に載せてどうぞ」。まずは泡醤油だけを箸ですくって口へ。フワッとした食感とともに、確かに醤油の味が味蕾(みらい)を刺激します。ふと卵ごはんの味を思い出しました。「これは卵白ですか?」の問いに、御主人「そうです」。この泡醤油と少しばかりのワサビとともに頂いたお刺身の味は、深く記憶に残る味となりました。

 月も名をかへ品をかへですが、この泡醤油には驚くとともに感心しました。本「京都の値段」のなかに「ぎおん琢磨の夜膳」が紹介されており『「京料理」それは「京都らしい風情の中で食べる日本料理」と言い換えることができる』という文章があります。「京都らしい」とは、カルノ流に解釈すると「京都の歴史・文化をしっかり踏まえつつも、創造・斬新を取り入れる。過去にけっしてあぐらをかかない」です。最後は一保堂のいり番茶で、ご馳走様でした。
 「ぎおん琢磨」「一保堂」等々、やはり京都は日本人の核(コア)を感じさせます。
いつもながら京都を訪れると「日本人で良かったなあ」を実感!堪能!

■「ぎおん琢磨」 075-525-8187



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