no.51
2004/10
「笑ひ茸食べて笑つてみたきかな」

鈴木真砂女(1906-2003千葉県鴨川市生まれ 俳人)


価値と価値観

 ここ数日、やっと秋らしい風が吹くようになりました。さすがに好奇心旺盛のカルノとて、笑ひ茸は食べたことはありませんが、茸の思い出をひとつ。もう二十年ほど昔、初任地の栃木で蕎麦屋さんにはいったところ「舞茸そば」なるメニューがありました。ずっと九州で育ったカルノにとっては、舞茸?知らない。当時、ほとんどが天然物でしたので、九州では口にするどころか、目にすることさえありませんでした。ですから、一口がぶっと噛み付いた時の感激は今も鮮明に覚えています。
 今夏に研修でスイスはチューリヒに行きました。スイスといえば「swatch」などの時計も勿論有名ですが、靴やバッグの「B」本店がチューリヒにあります。またボールペンの「C」もスイスです。今春に銀座の老舗文房具「I」で、このボールペンを求めました。胴体がプラスチック製の奇麗な色のニューモデルです。プラスチックのケースに入って、1400円くらいでしたでしょうか。なかなか良いので、スタッフへのお土産にと現地で捜しました。しかし、捜すとなると結構見付からないものです。「C」の他のペンは、いくつもあるのですが、お目当てのペンはなかなかありません。新作なので、御当地でもまだ、出回っていないのだと、妙に納得しました。
 ところが、最終日にふらりと入った文房具屋さんに有りました!しかもなんとペンのみ(ケース無し)で約400円、ショックでした。はっきり言って使えないケースが付いて1400円。肝心のペン本体だけで400円・・。実は同じようなこと(?)が「B」本店でもありました。出国前に銀座の「B」で目当てのバッグの値段をチェック。さて、チューリヒ本店では、タイミング良くバーゲン中で30%から50%オフ。ラッキーと思いながら、バッグのコーナーに行くと・・。ありました、ありました、お目当てのバッグが(色は第二希望の黒しかありませんでした)。値段を聞いて、ビックリ。銀座では9万円を超したのに、本店では約5万円!しかも、このバッグはバーゲンセール対象外のものでした。
 みなさん、どう思われますか?スイスは決して物価の安い国ではありません。むしろ、日本よりも1割程度高めです。そのスイスで、1400円が400円、9万4000円が5万円。安いのがどうこうではなくて、価値と価値観、もしくは価値感(このような言葉はありませんが)のことです。マーケティング、ブランディング、流通、等々、日本国内販売にあたって、いろいろな要素を加味した上での価格設定であることは推測できます。しかし、これほどまでも違うと、そのお店や企業の姿勢を疑いたくなります。価値と価値観、他山の石とするべく、自分のことを振り返りながら、帰国の途につきました。



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