no.43
2002/10
色付くや豆腐に落ちて薄紅葉

松尾芭蕉


白秋=はくしゅう

 白秋と聞くと、北原白秋を思い浮かべる方が多いことでしょう。彼の地元、福岡県柳川市の白秋記念館では、小学校の依頼で作った、歯磨きの唄の歌詞を読むことができます。白い歯を「真珠のように白い」と表現しています。実はこの白秋とは、単に秋の異称でもあります。春は青で青春、夏は赤で朱夏(しゅか)、秋が白で白秋、冬は黒で玄冬(げんとう)、中国の五行説による呼び名です。
 さて近頃、雑誌などで目にするようになった歯科でのトリートメントのひとつに「ホワイトニング」があります。歯の漂白・白化のことで、ブリーチングとも、ブライトニングとも呼ばれます。昨秋、ビバリーヒルズに行ったときのこと。中心部のブランド店が並ぶ一角に、ティファニーがあり、その真向かいには「ブライトニングセンター」なるオフィスがありました。ティファニーやクリストフルなどの銀製品を使用していると、しだいに細かい傷が付いてきて、その色は銀色から白銀(しろがね)へと熟成していくかのように思われます。白秋の白とは、この白銀のイメージかもしれません。
 冒頭の句の色付くやは、もちろん葉そのものの色の変化です。さて、歯の色の変化には、そのものの色の変化と、茶渋などの外来性の着色による変化とのふたつがあり、外来性の着色についてはPMTC(オーラルエステ)という方法がオススメですハナ通信22号1997/7月号参照。外来性の着色は、専用の器械と歯を傷めない研磨剤で除去できますが、そのものの変色は無理です。そこでホワイトニングの登場です。漂白と聞くと「歯を傷めないのかな」という疑問がでてきそうですが、ご心配なく、まったく傷めることはありません。ジェルを塗って、光を当ててホワイトニングします。
 最近では、年齢・性別にかかわらず髪をカラーリングされている方を多く見かけます。髪の色を明るくすることによって、表情や雰囲気まで明るくしたいというお気持ちがあるのかもしれません。ホワイトニングによって、口元を明るくすると、出てくる言葉もより明るくなるかもしれませんよ。





ご感想はこちらまで!!

sacra@connote.co.jp