no.27
1998/10
「秋の夜や紅茶をくぐる銀の匙」
日野草城『花氷』(昭和2)所収。1901-56東京生まれ

目匙=めさじ

わたくしカルノは珈琲党ですが、マリアージュのマルコポーロだけは別です。マルコポーロには珈琲にはない甘美さと気品があります。今回は紅茶ではなく匙についてのお話。まあ、紅茶でも飲みながら読んで下さい。次のような話です。

「料理における液体と固体と匙の関係について」

1)和食 液体(汁)と個体(具)の混在する料理(汁物)に関して
多くの和汁物は汁の味と具の味の由来は別々である。汁の味(だし)の由来は料理の中には残っていない場合が多い(鰹節、昆布、いりこなど)。そして具は客に出す直前に入れる。具は味付けにおいてはアクセントとなっており、汁と具の味は別々。おおかた汁は薄味で具が個性を出す。
2)洋食 スープやシチューに関して
スープと具は料理のはじめから同じ鍋の中に入っており、スープと具の味は客に出されたときは渾然一体化している。(コンソメスープのような液体だけの料理もあるが。)
3)和食と箸の関係
和食において具と汁は相互に独立している。このため箸と相性が良い。箸で汁を口に運ぶことはできない。和食においては、汁は汁、具は具で口に運ばれる。ところが匙を使うと汁と具が同時に口に運ばれる。このため和食において匙を使うと味がぼやけてしまう。
4)目匙について
そこで目匙なる道具を考案した。この目匙であれば手の動きが思うようにならない方々においても、和食を従来の匙に比べ十分に味わって頂けるのではないだろうか(図参照)。和食用の匙ということで和匙といえるかもしれない。

秋の夜長に箸にも棒にも掛からない匙のお話でした。







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