no.25
1998/4
「朝御飯がおいしければ一日が幸福です」
宇野千代

QOL=Quality of Life

QOL(クオリティオブライフ)という言葉を耳にされたことがあると思います。QOLは生活の質、あるいは生命の質と訳され、単に身体が病気ではないということではなく、生きる楽しみ、生きている喜びに主眼をおいた意味での健康のことです。永田勝太郎医師の定義では、こう述べています。「よく食べられ、よく眠れ、排泄に支障がなく、疼痛がなく、たとえあっても苦痛にはならず、心理的に安定し、職場や家庭・学校といった社会環境において十分にその役割を果たすことができ、生きがいをもって充実した日々を送れること」。もう一度読み返してみて下さい。 QOLと口の健康がいかに関係深いかお分かりいただけると思います。WHO は「健康は、生きる目的ではなく、毎日の生活の資源である。健康は身体的な能力であると同時に、社会的・個人的資源である。」とも述べています。
冒頭の言葉は、98才でなくなった宇野千代さんの言葉です。本の中でさらに「どんなに体によくてもおいしくなければいけない」、「旨いものを食べると生きていることの喜びを感じます」、とおっしゃっています。 QOLの定義を一言で言うならばまさしく「朝御飯がおいしければ一日が幸福です」となるのではないでしょうか。

ごはん

世の中でいちばんおいしいものはなんやろか。
それは、炊きたてのごはんやと思うわ。
透明感のあるまっ白い色をしてて、湯気がふうふう上がってて、きれいや。
あの炊きたての香りが好きや。
食べるとほんのりと甘い。
昨日も食べた。今日も食べる。明日も食べる。
食べ飽きん。
日本人にとって、ほんまにおいしいものはごはんやと思う。
これ以上のものはないと思うわ。
あなたは、なにがいちばんおいしいものと思いますか?

「京料理の福袋」より

参考文献
「私の長生き料理」宇野千代 集英社文庫
「京料理の福袋」村田吉弘 朝日出版社
「’97年度歯科保健専門家養成コース」テキスト 福岡予防歯科研究会編






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