no.23
1997/10
「いいえ、これは戸隠さまに納める
       ありの実でございます」

『佃祭』

ありの実=梨(なし)

はなし家は縁起を担ぎます。梨は無しに通ずるゆえにありの実と言ったとか。『佃祭』は情けは人の為ならずの人情噺。ストーリーはさておき、このありの実であります。当時、戸隠さんはムシバの神様として有名で、梨に生年月日と上下何枚目の歯が悪いかを書き、川に流して梨断ちして願を掛ける。
本山荻舟の『飲食事典』によると「俗に梨をかじると歯が悪くなるというのは過食と濫食の戒めであろう」とあります。江戸時代とはちがい平成のこの世、歯が痛い時は嫌々ながらもハイシャに行くでしょう。そこで痛みアリの前に、痛みナシで行ってみませんか。大方、人はLAZY(怠け者)な生き物ではありますが。


ABRACADABRA=アブラカダブラ

この呪文を書き、首にかけると癇癪や歯痛を防ぐものと信じられていたそうで、古今東西歯の痛みはすごいようです。この呪文も今では恋のおまじないとして、米米クラブは「ア・ブラ・カダ・ブラ」『HERVEST』、サザンオールスターズは「アブラ・カ・ダブラ」『10ナンバーズ・からっと』と唄っています。それほど恋も痛いものなのでしょうか。

参考文献
 「落語食譜」矢野誠一 青蛙房
 「悪魔の辞典」A.ビアス 角川文庫






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