no.19
1996/10
「かなしさに魚喰ふ秋のゆうべ哉」
高井几董『井華集』所収。1741-1781 京都の人

免疫=めんえき

新明解国語辞典(三省堂第四版)には、「病原菌や毒素がからだに入っても病に・かからない(かかりにくい)ような状態にあること。」とあります。今夏はO157の集団食中毒により改めて免疫について考えさせられました。人は疫(微生物による感染)から免れる力を持っています。この免疫の基本は挨拶だそうです。体内では常に声かけあって味方(自己じこ)と敵(非自己ひじこ)を区別しているのです。味方どうし(白血球、リンパ球、色々な酵素、タンパクなど)、もしくは味方と外からやってくる悪さをしないもの(食物、常在菌など)とも挨拶をかわし、敵ではないことを確認し合っているのです。常に味方どうし声をかけ合うことにより敵を確実にすばやく知り得るのです。そして、ひとたび敵が存在すれば味方は武器を手に取り、戦い、やっつけ、発症、発病しないわけです。
冒頭の句に「かなしさに…」とありますが、悲しみにうちひしがれている人の武器は弱く、喜びいっぱい笑みいっぱいの人の武器は強いのです。つけ加えるなら、可能な限り菌の数は少ない方が良いわけで、手洗いとうがいが基本です。ファストフート゜のエリア拡大により忘れられつつある手洗い、うがい、そして手作りのおふくろの味。辞典に免疫のもう1つの意味として〔物事たび重なって、慣れてしまう意にも用いられる〕とありました。しかしこの免疫は良くありません。食事の時には、まず手洗いとうがいをすませ、ニコニコ元気よく食べる。免疫とは本来動物の持つ力です。薬にたよらず手洗いの励行とニコニコ元気よく食べること。これが免疫の第一歩です。

秋の夜長

秋の夜長とくれば、読書です。免疫のはじめに登場する新明解国語辞典(第四版)、「新解さんの謎」(赤瀬川原平 文芸春秋)とあわせてどうぞ。もう1冊言葉に関する本として「言葉のラジオ」(荒川洋治 竹村出版)。新明解は別としても残りの2冊は、秋の夜長をさらに長くしてくれます。






ご感想はこちらまで!!

sacra@connote.co.jp