no.17
1996/4
「かすむ日や夕山かげの飴の笛」
小林一茶

カリエスリスクテスト

新年度になって各種健康診断を受けれられる方も多いことでしょう。そこでカリエスリスクテストのお話し。
冒頭の句は、飴売りを詠った一茶の句です。ひとたび飴を口の中に入れると、溶け終わってさらに30分もの間、歯は危険な状態にさらされます。そしてその後、むし歯(カリエス)になる歯と、ならぬ歯とに分かれます。その分かれ道は、なり易さ(リスク)の違いです。むし歯には、むし歯菌、食餌=むし歯菌への栄養、酸にさらされる時間、歯の抵抗力が関与しており、これらを分析することでリスクの原因を突き止め、さらにリスクを低くすることができます。また、むし歯はうつります。正確にはむし歯菌がうつります。たとえば、離乳期のママのくちゅくちゅ食餌(母親が一度咀嚼した物を食べさせる)によってうつります。ママのリスクが低くても、パパのキスでママにうつり赤ちゃんにうつります。
今や、ほぼ完全にむし歯は予防できます。その人のリスクを明らかにし、リスクを低め、フッ素を応用することにより予防できます。むし歯は病気であり、一度むし歯になった歯は決して元には戻りません。いくら治療しても元には戻りません。歯科治療とはむし歯になってしまった歯の寿命を延ばすだけで、決してその歯の命を完璧に救うことはできません。是非、チャンスがあればこのテストを受けられて、より科学的に口の健康を維持されることをお勧めします。

小林一茶 (1763-1827)

信濃柏原の農家の長男として出生。3歳で母を亡くすなど家庭的には終生恵まれなかった。奔放で人間味あふれる俳風のうちに、庶民生活の喜怒哀楽をうたった。
『七番日記』『おらが春』






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