no.9
1994/4
「葉をむけば汗かいてをり柏餅」
亀井新一『藪春』(昭和63年)所収。大正13年東京生まれ

生欲=いきよく

年度も変わり、生活環境が大きく変化した人も多いことと思います。そこで提案。生欲(いきよく)を見直してみませんか。
 生欲とは、生欲=食欲+性欲なるもので、健康長寿には健全な生欲が必須です。生欲での食欲・性欲とは、プラス思考の食欲・性欲です。プラスの食欲とは、腹をみたすことではなく、食欲を持ち続けること。飽食ではなく節食しなければ、これはできません。
 プラスの性欲とは、おしゃれ心のことです。子どもから大人になるにつけて躾からはじまり身につけたおしゃれ心を、年を経るとともに失っていく人が多いように思います。
 節食とおしゃれ心、これがプラスの食欲と性欲です。こじつければ節食が奥歯、おしゃれ心が前歯とも言えます。あなたは生欲(いきよく)を持ち続けていますか。

歯触りと歯応え=はざわりとはごたえ

 近頃、マンガ「美味しんぼ」や雑誌「dancyu」の中に、「歯触り」という語句をよく目にします。ちょっと気になって国語辞典を引いてみると、歯応え=食べ物をかんだ時に感じる堅さの感じ(三省堂、新明解4版)とありますが、歯触りは見出し語の中に見当たりません。歯触りとは新しい言葉なのでしょうか。
 筍サクサク、数の子バリバリ、たくわんポリポリ、せんべいバリバリ、いくらプチプチ、ポテトチップスパリパリ、これは歯触り。いか刺しシコシコ、ナタデココグニュグニュ、なまこコリコリ、白魚のおどりプチプルン、これは歯応え。 とするならば、歯触りは聴覚で、歯応えは触覚(圧に対する感覚)といえるのではないでしょうか。ムシ歯の歯では、歯触りは楽しめません。シソーノーローの歯では歯応えは楽しめません。これから筍の季節です。タケノコサクサク、楽しみましょう。






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