サブタイトル「富を約束する「6つの感性」の磨き方」に引かれて買いました。なかなか中身のある本でした。まず「6つの感性(センス)」とは、
1-「機能」だけでなく「デザイン」
2-「議論」よりは「物語」
3-「個別」よりも「全体の調和(シンフォニー)」
4-「論理」ではなく「共感」
5-「まじめ」だけでなく「遊び心」
6-「モノ」より「生きがい」
なかでも2番目の「物語」の章に「治療に大きな成績を上げている「物語医学」」という話が興味をそそりました。
「科学的に優れた医学だけでは、患者が病気と闘ったり、苦しみの中に意義を見出したりする手助けをすることはできない。科学的な能力とともに、患者の話を聞いてその意味を把握して尊重し、その上で患者の身になって行動する能力が医師には必要なのです」188ページより
臨床での問診をイメージしてみてください。確かに患者さんは歯が痛くなった時の「物語」を話し始めます。総入れ歯の患者さんは、その義歯の「物語」を語り出します。人は物語でしか起こったことを理解・記憶できないというような話しもこの章に出てきます。ということは、初診時から始まる一連の治療の説明も、医学的な説明ではなく、その人にこれから起こるであろう生活の物語として語る必要があるように思えます。手前味噌で恐縮ですが、カルノは依頼された義歯に、患者さんの希望に合わせて名前を付けます。「タクワン入れ歯」「タケノコ入れ歯」「若返り入れ歯」等々。こ
れも「物語」です。 |