オススメ.59







「プロ論。」 B-ing編集部編
徳間書店 1600円+税
プロ論。

 ブックスカフェの連載を始めた頃に「本をどこで買うの?」と聞かれたことがあります。多くはネットで買います。近くの本屋にも足を運びますが、そこで買うのは雑誌とゴルゴ13がほとんどです。本屋さんの品揃えは、その本屋の諸事情によって異なります。面白いのは宮崎空港の本屋さんで、必ず搭乗前に立ち寄ります。この本もそこで見つけました。最近ではあえて出張の準備の中に本は入れません。まず、待合室でパラパラとめくります。宮崎―福岡は30分間ですので、寝ていることが多いのですが、今回は・・。

 いつも前方通路側を希望します。今回1-Bでした。斜め前方には客室乗務員の方のシートがあります。皆、乗り終わってハッチが閉まり、乗務員の方もシートベルトを締め、いざ出発。動きません・・。しばらくして「大雨で福岡空港に着陸できません。離陸許可を待ちます」との機内アナウンス。少なくとも1時間くらいは出発が遅れるとのこと。出発直前の緊張・静寂から、愕然・動揺・落胆に、機内の空気が一転します。数人の乗客が、席を立ち「乗り換えはどうなるんだ」と乗務員に詰め寄ります。離陸していなくても機内では携帯電話が使えないために、再びチューブが繋がれハッチが開けられました。幾人かの乗客がケータイを手に、機外に出ます。いずれにせよ、時間ができましたので、先程買った本を開きました。偶然にも開いたページが、

「とことんポジティブに考える。
 そして、とことん楽しんでみる」(高橋源一郎 265頁から)

思わず、にんまりニンマリ。開き直りました。ページをめくる間も、乗務員の方の緊張感あるトラブル処理が、目の前で進んでいきます。

「危機的状況のときこそ、人は最も成長します。
 そして、その人の本質が見えるものなんです」(カルロス・ゴーン11頁から)

 さすがは、プロと感心するうちに一時間半遅れで福岡空港に着陸しました。

 おかわりは、この本に登場する好きなアーティスト日比野克彦氏の本です。表紙に印刷してある言葉は「口の中をベロで触って、どんな形があるか探ってみよう」。さすがです。

「100の指令」

日比野克彦 朝日出版社 1500円+税




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