オススメ.51 2005.1.20


「山の上ホテル物語」 常盤新平
白水社 1900円+税
山の上ホテル物語

 「山の上ホテル」--この名前は、小学校の頃から知っていました。注文の多い料理店のように、いかにもお話に出てきそうな名前ですが、このホテル名を知ったのは、文藝春秋でした(もちろん、読んでいたのではありません。毎月、父がとっていたのでグラビアページだけ見ていました)。子供の手には分厚い文藝春秋のページの左側に短文を添えた広告が載っていました。その短文が小学生の頭にも妙に残る、ちょっと変わった文章でした。この本を読んで合点しました。創業者吉田俊男氏によるものだったのです。

「山の上は日の出が早い でも酸素をたっぷり吸へば さっぱりと目覚めるのだ」
「山の上です 明日のために 今日をすごす ところです」
「のんびりと おうちの 居間とおんなじ ここは、さういふ 気楽な、ところです」(189-191頁より)

 今回、そのホテルを予約しました。またひとつ夢が叶います。しっかり行動計画も立てました。お昼前にチェックインして、ホテルで天丼を食べて、外出。晩ご飯は知り合いの方がセッティングされるために、晩飯後にホテルに戻ったらバーで、ナイトキャップを数杯。目覚めたら、散歩後にホテルで朝食・・。

 吉田氏はかなり食にうるさかったとみえます。食こそ美の美でありと「生きるために食ふなどとは嘘も大嘘で、人間は本来うまいものを食ふためにこそ生きるもの」(94頁より)と、メモに残されているそうです。

 「良質のものはどの世の中でも少ししかないのです」(20頁より)この言葉は、頭の中で反芻すればするほど、味わい深いというよりも、重く重くなってきます。もちろん、泊まった感想は、後日報告いたします。

帝国ホテルのおもてなしの心
帝国ホテル編


●学生社 1480円+税




[スターブックスカフェ-Contents-]