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今回、小生が師と仰ぐ先生がたが本を出されました。 「顔学の貴重な体験歯科技工の最前線の義歯を知りたり 五年を経てなお若き日の如く噛める幸い科学の世界」(124頁から) この本の治療法(治療義歯システムで作る健康義歯)で、義歯を新調された女性が寄せられた和歌です。 総義歯に関する治療は、ややもすると「達人のカン」とか「名人の技」的な答えで、結論づけられていた部分があったように思います。おそらくその一因は、総義歯の治療が、他の治療よりも考慮すべきことが多いからではないでしょうか? 多くのことを一つの場面としてとらえることが、多々あるように思います。 何本もの絡まった糸を、丁寧に一本一本、解いてくれるような本です。そして、その数多くの糸の真ん中にある糸が「入れ歯の主人公はご本人」(67頁から)という言葉です。 患者さんをはじめ、義歯に携わる人びとにとって、この本は“読めばわかる”本であり、この健康義歯を口にされた方にとっては、“噛めばわかる”義歯だと思います。“義歯どうする?”と、困ったときには、ぜひこの一冊を! |
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「徒弟制度は人から人への個人的な技と技を支える職業観の伝承であった。師匠から弟子に、技や、技を駆使して生活していくうえでの必要な事柄や、精神を受け継いでいくのであるが、そこには教科書はなく、仕事のできる師匠がいて、覚えたいものが入門し、そこで一緒に暮らしながら仕事を覚えるというものであった。」(160頁から) 「職業観の伝承」、深い言葉ですね。 あるとき、お茶の先生が『同じ釜の飯を食べる(=生活をともにする)から、師弟関係と言うのである』と、おっしゃいました。つまり、他人であっても「弟」の字を使うことには、それなりの意味が含まれていて、師弟関係と、教師―生徒の関係とは違う、とのことでした。 「弟子の側は教わり、覚えるのであるが、教える側は仕事の場に弟子を置き、仕事を見せる以外、教えるという行為をしてきたとは思われない。叱ることを教育というなら、それはあった。弟子は『見て覚える』以外にない。つまり徒弟制度の基本は覚える側の姿勢の問題であった。」(161頁から) おかわり本には、8人の職業の人が登場します。ビヤ樽職人・箒職人・釘鍛冶・鞴づくり職人・コラクル舟職人・バスケット職人・屋根葺き師・町の鍛冶屋の面々です。このような職種が、いまなお現役であるということに、ヨーロッパの底力を感じます。 |
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