小関智弘 著
筑摩書房/1,100円+税
町工場・スーパーなものづくり

 「ものづくり 名手名言」の連載もあり、カルノは「ものづくり」という言葉に敏感です。
 伊勢神宮の和釘、井原西鶴の「西鶴織留」に始まり、フェラーリ、宇宙衛星まで話は進んでいきます。また、その仕事特有の言い回し・言葉も出てきます。著者ご本人が、現役の旋盤工ゆえの深さでしょう。
 「ただいえることは、多少不器用で、どうもほかの人のようにはじょうずに手先が動かなくとも、ちょっと道具を工夫すれば、人なみの、あるいはそれ以上の仕事がかならずできるということである。そして、わたしの長い工場体験からすると、しばしば、器用な人ほど、自分の器用さに溺れて、道具を工夫しない。ぎゃくにすこし不器用な人のほうが、かえってその不足分を知恵で補おうとして、ほかの人が思いもよらぬ工夫をする」(52頁から)
本の最後で、「工」の字の訓読みについて書かれています。「たくみ」と読みます。「言葉たくみに−」は、軽く聞こえそうですが、この本を読み終えると、「工」が重いものに思えてきます。ズシリとくる重さではなく、敬意を払うべきもの、歴史や伝統、年月が必要なものという意味での重さです。この本を読まれたあとには、「歯科技工」という文字が、今までとは違う言葉として見えてくるでしょう。

『NHK人間講座テキスト ものづくりの時代』

●小関 智弘 著 NHK出版/560円+税





さとなお 著
コスモの本/1,500円+税
うまひゃひゃさぬきうどん

 「そう、さぬきうどんとは、歯的快感、歯唇間的快感、上顎的快感、舌下的快感、そして味的快感、香り的快感、喉越し的快感、が、すべて同時に起こる、世界でもまれに見る『口内総合快感食品』なのであった。
 歯、舌、鼻、喉、そして口の中のすべての壁・隙間がキモチイイ食べ物だったのだぁ!」(93〜94頁から)
 表現のすごさもさることながら、このさぬきうどんを十二分に味わえる補綴物を作るとなると、これまた大変だと思いながら読み進みました。クラウンならともかく、これが総義歯だったら、はたして可能なのか・・?
 「口中全身マッサージ」、「口内暴力」というような単語がさらに登場します。
 この著者、食べることにはものすごいエネルギーを注いでいらっしゃる方のようで、お腹が空いたらホームページ(www.satonao.com)にもアクセスしてみてください。

『さとなおの自腹で満足!』

●さとなお 著 コスモの本/1,600円+税




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